社説

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 バイデン米政権の始動から1カ月が過ぎた。新型コロナウイルス対策を優先しながら、米国第一主義に代表される「トランプ流」からの転換を矢継ぎ早に打ち出した。

 2月初旬、バイデン大統領は初の外交方針演説で「世界に伝えたい。米国は帰ってきた」と述べ、国際協調路線への回帰を改めて宣言した。望ましい方向だ。

 温暖化対策の枠組み「パリ協定」に復帰し、世界保健機関(WHO)に2億ドル以上を拠出する意向を明らかにした。気候変動や感染症といった地球規模の課題解決に向け、米国の主導的関与が求められる。

 コロナのパンデミック(世界的大流行)は、民主主義を後退させ、権威主義を勢いづかせる-とも指摘される。実際、対テロ技術を使って感染者の位置を特定したり、混乱防止を名目に言論統制したりする国があり、懸念が高まる。

 自由や基本的人権を尊重しない非民主主義国家の台頭は、決して歓迎できない。国際秩序を守る観点からも、米国が同盟国や国際機関との関係を重視し、多国間協調に基づいたリーダーシップを発揮することが一層重要になる。

 権威主義との向き合い方を問われるのは日本も同じである。民主主義陣営の一員として、国際社会で積極的に役割を果たすべきだ。

 注目された米中首脳会談でバイデン氏は、香港などでの人権抑圧や不公正な経済慣行を真正面から取り上げ、習近平国家主席に「根源的な懸念」を伝えた。厳しい対中感情を背に、物言う姿勢を鮮明にした。

 中国側は「内政問題」と反発しながらも、関係改善を呼びかけた。バイデン氏は「米国民の利益になるなら中国と協力する」と答えた。気候変動対策での協力体制を模索するとみられる。

 両超大国は建設的な対話を通して不毛な対立を避けねばならない。対話は「弱腰を見せる」こととは違う。その点を改めて強調したい。

 米国内の深刻な分断を癒やす取り組みはこれからだ。連邦議会襲撃をめぐり弾劾裁判にかけられたトランプ前大統領は無罪となった。今も根強いトランプ人気を、共和党議員は無視できなかった。

 ただ、かすかだが希望も見える。前政権とは対照的に科学や事実を重視したコロナ対策は、幅広い支持を得ている。政治が国民の命を守る責務を果たすことが、社会融和への大きな一歩となるはずだ。

 マスク着用の義務化などバイデン氏は議会審議を経ない大統領令を連発した。しかし、真の「脱トランプ」を果たすには、議会での合意形成を目指す必要がある。

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