社説

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 菅義偉首相の長男正剛(せいごう)氏が勤める放送事業会社「東北新社」による接待問題が、衛星放送事業の認定取り消しという事態に発展した。

 総務省幹部への高額接待は、NTTでも発覚した。その相手は総務相経験者ら国会議員にも広がるなど、底なしの様相を見せる。

 15日には、接待問題の発端となった東北新社から中島信也社長、NTTからは澤田純社長が、参院予算委員会に参考人として招致された。

 両氏は一連の問題を陳謝したが、働きかけは否定した。官と業との根深い癒着で行政がゆがめられていないか、徹底的に究明すべきだ。

 東北新社が4年前にBS放送「ザ・シネマ4K」の認定を申請した際、外資比率は20%以上あり、20%未満と定める放送法に違反した状態だった。だが総務省の担当者は申請書の記入欄を見ただけで問題ないと判断し、そのまま認定したという。

 審査や認定の手続きが進むさなかにも、東北新社による総務省幹部らへの接待は繰り返されていた。関連はなかったのか、疑念は募る。

 同社からの接待で懲戒処分を受けた谷脇康彦前総務審議官らは、NTTからも高額接待を受けていた。

 携帯電話の料金引き下げは菅政権の看板政策の一つであり、実務の責任者が谷脇氏だった。国会で澤田社長は「業務上の要請や便宜を受けるような話はしていない」と否定したが、個別の会食の相手や内容については正面から答えなかった。

 自民党の野田聖子、高市早苗両衆院議員も総務相在任中、NTTとの会食に応じていた事実を認めた。「私的な会合」と接待を否定したが、関係業者から供応接待を受けることなどを禁じる国務大臣規範に抵触する可能性がある。

 一方、武田良太総務相は接待の有無について明言を避ける答弁を連発している。なぜ説明できないのか。

 会食の届け出数と実態の乖離(かいり)も看過できない。同省では、利害関係者と会食する際に必要な事前届け出が過去5年間で8件しかなかった。実際には幹部が会食を繰り返しており、倫理観の欠如は甚だしい。

 武田総務相は、接待問題を検証する第三者委員会を週内に発足させる方針を表明した。自浄作用が働かない組織体質の劣化は深刻である。

 過剰な飲食接待が連綿と繰り返された裏で何があったのか。厳正な調査でうみを出し切らなければ、国民からの信頼回復は望めない。

 いずれの問題も、総務省に強い影響力を持つ菅首相の権力基盤と密接に関わる。「長男とは別人格だ」などと釈明を重ねてきたが、それでは通らない。官業癒着の徹底解明に、今こそ指導力を発揮すべきだ。

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