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 政府は、首都圏4都県で継続している新型コロナウイルス緊急事態宣言を、21日の期限で解除することを決めた。最大で11都府県に拡大し、2度延長された宣言は、約2カ月半で全面的に終了する。

 本当に大丈夫なのか、安堵(あんど)よりも懸念が先立つ対応である。

 菅義偉首相は「首都圏の新規感染者数は(宣言発令時から)8割以上減った。病床の使用率も解除目標の50%を切っている」と述べた。

 確かに感染者はピーク時と比べて大幅に減り、医療現場の負担もかなり改善している。だが、最近になって感染者が微増傾向に転じ、埼玉、千葉県では病床使用率に余裕があるとは言えない状況だ。

 感染力が強いとされる海外由来の変異株も、兵庫県や首都圏など全国で拡大している。神奈川県などでは感染者の死亡も確認された。

 政府の専門家分科会の尾身茂会長は「首都圏はリバウンド(感染再拡大)が起こる可能性が極めて高く、宣言解除後の対策がより重要になる」と指摘している。首相はこの言葉をどこまで重く受け止めたのか。

 政府内には、宣言の効果が薄れ、「続ける意味はない」との見方もあるとされる。首都圏の住民も解除への賛否は分かれているようだ。

 若い世代を中心に「自粛疲れ」が指摘される。営業時間短縮を要請された飲食店などは苦境に直面している。半面「第4波」への不安もあり、国民の受け止めは複雑だ。

 そうした状況で、首相から納得、安心できる言葉が聞けなかったのは残念というしかない。

 リバウンドを抑え込むには、今以上に踏み込んだ対策が欠かせない。政府は宣言解除後の対応として、飲食対策▽変異株対策の強化▽検査拡充▽ワクチン接種の推進▽医療体制充実-の五つの柱で感染再拡大を防ぐとする。都道府県と連携して、感染状況のモニタリング検査や変異株の検査を増やす方針も示した。

 尾身会長は「従来の延長線上にない」対応を求めている。対策を底上げし、これまで以上にスピーディーに進めねばならない。

 首都圏4都県は、22日から飲食店への営業時間短縮要請を1時間緩和する。一方、宣言が先行解除された関西3府県では新規感染者数の増加傾向が顕著となり、兵庫県は3月末まで、一部地域での飲食店に対する営業時短要請継続を決めた。

 春は人の集まる機会が多い季節である。宣言の解除が「もう大丈夫」という誤ったメッセージにならないよう、政府や自治体は感染対策徹底の呼び掛けを強める必要がある。

 大事なのはこれからだ。そのことを私たち一人一人も自覚したい。

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