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 国が同性同士の結婚を認めないのは憲法違反として、3組の同性カップルが国に損害賠償を求めた訴訟で、札幌地裁が違憲と認める判決を出した。賠償請求は棄却したが、国の措置は憲法14条で定めた「法の下の平等」に反するとの判断である。

 同種の訴訟は全国5地裁に提訴され、今回が初の判決となった。

 性的少数者(LGBT)の人権を尊重する方向で、市民の意識が大きく変わりつつある。司法が社会の変化を捉えて判断するのは当然とはいえ、画期的な判決と言える。

 同性カップルを巡る司法判断は分かれていた。2020年の名古屋地裁判決は男性同士を事実婚と認定しなかった。一方、今年2月の東京地裁判決は、同性同士の不倫を不貞行為に当たるとし、最高裁は今月、女性カップルを法的保護の対象となる「結婚に準じた関係」と認めた。

 札幌地裁は「性的指向は自らの意思にかかわらず決定される個人の性質で、性別や人種と同様だ」と指摘し、「同性愛者に婚姻の法的効果の一部ですら受ける手段を提供しないのは差別的」と断じた。

 判決は他の訴訟にも影響するとみられる。原告は控訴する方針だが、違憲判断が示された以上、同性婚の法整備を真剣に検討すべきだ。

 疑問が残るのは、損害賠償を認めなかった点だ。原告は同性婚の立法措置を国が怠ったと指摘したが、地裁は議論が起こったのは15年になってからだとし、「国会が違憲性を認識することは容易ではなく、違法とは言えない」と述べた。

 だが、15年に東京都渋谷区と世田谷区が同性カップルを法的に認めるパートナーシップ制度を導入し、それが全国に広がっている。兵庫県内でも16年の宝塚市から阪神間などの7市で制度が始まり、西宮市や姫路市も導入する予定だ。国の議論だけが遅れていると言うしかない。

 憲法24条には「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有する」とある。判決はこれを異性婚について定めたもので「民法などが同性婚を認めていないことは違憲ではない」とした。

 ただ、24条の趣旨は戦前の家制度を廃し、個人の尊厳と両性の平等を保障するものだ。「制定当時に同性婚が想定されていなかっただけで、同性婚を否定していない」という過去の地裁判決もある。国の主張のように「男女が前提」とは言えまい。

 個々人の生き方は旧来の考えにしばられず、結婚や家族についても新しい形を選べるようになるのが望ましい。同性婚だけでなく、選択的夫婦別姓などの検討も必要だ。幅広い国民的な議論を進め、必要な法制化を急がねばならない。

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