社説

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 関西を中心に、新型コロナウイルスの感染が再び急拡大している。兵庫県でもきのう、初めて3日連続300人以上となる314人の感染者が新たに報告された。2週間前の約2・7倍という急増ぶりだ。大阪府や京都府、奈良県などを含め、関西全体の感染状況は、かつてない厳しい局面に入ったと言っていい。

 病床が埋まるスピードも極めて速い。兵庫県の病床使用率は74・7%、重症病床の使用率は73・3%に上昇し、全国最悪レベルが続く。これ以上の逼迫(ひっぱく)を何としても食い止め、医療崩壊を防がねばならない。

 県はきのう方針を転換し、自宅療養を認めることを明らかにした。掲げてきた自宅療養ゼロの看板を下ろさざるを得ないほど状況は悪化していると言える。病状の急変を見逃さず、家族内感染を防げるようフォローアップ体制の構築が急がれる。

 加えて、今月中をめどに病床を100床程度増やすことなども表明した。マンパワーも十分に確保する必要がある。医療機関が連携し、病状に応じて患者を振り分ける仕組みを機能させて、助かる命を救うことに全力を尽くしてもらいたい。

 関西での急拡大の背景にあるとみられるのが、英国型の変異株の拡大である。兵庫県と神戸市が独自に行っている変異ウイルスの検査では、先月28日までの1週間の検体のうち8割以上がこの英国型だった。

 国内の分析では、感染力が従来株の1・3倍強い可能性があるという結果が出ており、重症化率も高まっているとのデータもある。厄介さが数段増している変異株は、これまでの延長線上の対策では乗り切れないとの専門家の指摘も相次ぐ。

 感染者は全国でも増加傾向が続き、新規感染者数はきのう、3日連続で3千人を上回った。東京都でも500人台が続いている。

 政府は来週から、兵庫県などに適用した「まん延防止等重点措置」を東京都や京都府、沖縄県に拡大することを決めた。だが対策は従来の飲食店中心のままで、大きく変わらない。「自粛疲れ」が指摘される中、効果に疑問を抱かざるを得ない。

 1回目の緊急事態宣言時には「最低7割、極力8割削減」といった接触機会を巡る具体的な数値目標を掲げた。今回はそれを超える波に直面している。より踏み込んだ対策に切り替える時期に差し掛かっているのではないか。影響が及ぶ事業者や個人への資金支援は欠かせない。

 政府の専門家分科会の尾身茂会長は「危機的な状況に入っているという認識を国民全員が持つべき」と指摘する。危機感の共有と思い切った措置が求められる。一人一人が感染対策を徹底することも継続したい。

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