社説

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 65歳以上の高齢者を対象にした新型コロナウイルスのワクチン接種が、医療従事者に続き、兵庫県内でも始まった。重症化リスクが高い高齢者を守るため、円滑に進める体制整備が急がれる。

 対象は全国で約3600万人、兵庫県内は約168万人に上る。当面は供給量が少なく、高齢者施設の入所者などに対象を限定する自治体も多い。大半の市町が5月以降に接種を本格化させる見込みだ。

 電話やネットを通じて集団接種などの予約受け付けを始めた一部自治体では、少ない募集枠に申し込みが殺到した。17日に始まる高砂市などでも「電話がつながらない」といった苦情が相次いだという。洲本市では受け付けが開始される前から、申し込みを希望する電話が多く舞い込んだ。

 期待の大きさの表れだが、優先順位が適切なのか疑問の声も上がる。ネットに不慣れな人も多く、抽選方式を採用した自治体もある。滞りなく接種を進めるためには丁寧で分かりやすい対応が欠かせない。

 問題は肝心のワクチン供給量が足りないことだ。先行する医療従事者への接種がまだ完了せず、未接種の医師が「無防備」な状態でワクチンを打つという事態も生じている。政府が甘い見通しで接種開始を急いだツケが、自治体や医療現場に負担としてのしかかる。

 日本の出遅れは目を覆うばかりである。少なくとも1回接種を受けた割合は全人口の約1%で、先進7カ国(G7)で最下位に沈む。国産の開発も遅れており、ワクチン政策の不十分さが露呈した格好だ。

 共同通信社の世論調査では、ワクチンの進捗(しんちょく)に関し、6割が「不満を感じている」と答えた。国民の切実な思いに応え切れていない。

 河野太郎行政改革担当相は先週、6月末までに全高齢者約3600万人分の調達のめどが立ったとの認識を示したが、具体的な供給日程は明らかにしていない。予定通りにワクチンが届かなければ、接種計画の見直しを迫られる恐れもある。

 混乱を回避するためにも、政府は米製薬会社や輸出管理を強化する欧州連合(EU)などと交渉を重ね、安定供給に全力を注がねばならない。その上で、自治体に配布時期や供給量を正確に伝えるべきだ。

 感染力が強い変異株の拡大で流行の「第4波」が到来し、兵庫県内でも病床の逼迫(ひっぱく)が続く。このままでは医療現場の負担が限界に達し、接種に必要な医師や看護師の確保も困難になりかねない。

 一般の人たちの接種時期はいつになるか分からない。今は感染予防の意識を高く持ち続けるしかない。

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