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 男子ゴルフの松山英樹選手が、四大メジャー大会の一角、マスターズ・トーナメントで優勝を果たした。アジア勢では初で、日本男子がメジャーを制するのも初めてである。コロナ禍の中、粘り強く諦めない戦いぶりに、勇気づけられた人も多かっただろう。

 一昨年夏には渋野日向子選手がAIG全英女子オープンを制しており、今回はそれに続く快挙だ。戦前から挑み続けた日本ゴルフ界の悲願達成に心から拍手を送りたい。

 同じ聖地で前週にあった第2回オーガスタ・ナショナル女子アマチュア選手権では、岡山県出身の17歳、梶谷翼選手(滝川第二高)が初優勝した。日本人選手が男女でオーガスタを制覇したことになる。

 マスターズは男子の四大メジャー大会で唯一、毎年同じコースで開かれる。覇者に贈られる伝統の「グリーンジャケット」で知られる。

 松山選手は2011年春、初めてこの大会の出場権を得た。東北福祉大2年の時だった。大会直前に東日本大震災が起き、出場すべきか迷ったが、被災者の激励に背中を押された。結果、27位と健闘して日本人初のベストアマチュアに輝いた。

 思い入れの強いマスターズで夢をかなえた偉業は、震災発生から10年となった被災地・東北の人たちの誇りとなるに違いない。宮城県は県民栄誉賞を贈る考えだ。

 今回の快挙は、世界でも注目を集めた。米紙ニューヨーク・タイムズは「画期的な勝利は、アジア系市民への憎悪犯罪が起こっている混乱の時期に訪れた」と伝えた。この優勝がアジア系への偏見や分断を改めることにつながれば、なお意義深い。

 松山市に生まれ、4歳でゴルフを始めた松山選手は高知・明徳義塾高校に進んだ。11年に日本ツアーでアマチュア優勝し、プロ転向の13年には早くも賞金王を獲得した。翌年には米ツアーでも初優勝を飾った。

 とはいえ、プレッシャーには決して強くなかった。プロとして初めてマスターズに挑んだ14年は、予選落ちで悔し涙を流した。

 出場10度目となる今回は違った。柔和な表情で大胆に攻めた。4打差で迎えた最終ラウンドでは後半にボギーが続いて苦しんだが、通算10アンダーの278で逃げ切った。

 初めて袖を通したグリーンジャケットは松山選手によく似合った。まだ29歳だ。東京五輪での金メダルへの期待も高まっている。梶谷選手ら次世代の新星にも輝いてほしい。

 インタビューで松山選手は「子どもたちが5年後、10年後にこの舞台に立って、その子たちと争えたらすごく幸せ」と語った。そんな大きな夢をぜひ実現してもらいたい。

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