社説

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 政府の有識者会議が皇位継承策に関する本格的な検討に着手した。秋までの集約を目指すという。

 皇室典範が定める皇位継承者は現在、55歳の秋篠宮さまと14歳の長男悠仁さま、上皇さまの弟で85歳の常陸宮さまの3人だけだ。女性皇族は結婚後、皇籍を離れるため、皇位継承の重責も公務の負担も若い悠仁さまに集中しかねない。

 憲法1条が定める「象徴天皇制」をどう維持するかは国の根幹にかかわる。もう先送りは許されない。

 焦点は、現行制度では父方が天皇の血筋を引く男系の男子に限られる継承資格を、女性天皇や、父方に天皇の血筋がない「女系天皇」に広げるかどうかである。

 昨年の世論調査では、女性・女系天皇への支持はそれぞれ約80%に達した。多くの国民が現行制度の行き詰まりを理解しているからだろう。

 政権内には、女性皇族が結婚後も皇室に残って公務を担う「女性宮家」の創設を求める声もある。

 一方、自民党などの保守派は、男系維持の伝統を壊すとして女性・女系に拒否反応を示し、女性宮家にも慎重論が根強い。

 ヒアリングに応じた専門家からは、継承資格を男系男子に限定することに十分な根拠はなく、女性・女系の容認が国民の意識に沿う、との意見も複数出ている。

 集約は容易ではないが、だからこそ、開かれた議論を通して合意を形成する過程が重要だ。

 2017年6月に成立した天皇退位特例法は付帯決議で、速やかな検討と国会への報告を求めた。ところが当時の安倍晋三首相は、「いざとなったら神風が吹く」などという非現実的な楽観論で先送りした。歴代最長の政権を担いながら難題を放置した責任は重い。

 引き継いだ菅義偉首相も見直しに慎重とされ、政府内には有識者会議の結論提示は見送るべきだとの声すらある。衆院解散を前に保守層の反発を避ける意図だとすれば、政治の責任放棄と言わざるを得ない。

 小泉政権の有識者会議は05年、女性・女系天皇を容認する報告書を出した。民主党の野田政権は、「女性宮家」の創設を柱とする論点整理を公表した。論点は既に出尽くしていると言っていい。

 上皇さまの退位から2年。結論を先送りし続ければ皇族は減り、継承策の選択肢も狭まる一方だ。いま政治に求められるのは、これまでの議論を土台に国民の共感を得られる打開策を示すことである。

 有識者会議は女性や若い世代の意見も採り入れ、新時代にふさわしい皇室の将来像について議論を尽くしてもらいたい。

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