社説

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 米国のバイデン大統領が主催する気候変動に関するオンライン首脳会合(気候変動サミット)が開かれ、各国・地域の首脳40人が、脱炭素社会の実現に向けて2日間にわたって協議した。地球温暖化など人類の危機とも言える環境問題に対し、参加各国が協力する方向で進み始めたことを歓迎したい。

 サミットには、中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領らも招待に応じて出席した。米国は会議に先立ち、中国にケリー大統領特使を派遣し、地ならしを図った。対立が深まる米中が協力姿勢を示したことは評価できる。

 二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスにより、産業革命前と比べて世界の気温は約1度上昇した。豪雨災害が多発して海面上昇による被害が起き、農漁業などにも影響が出ている。深刻さを増す気候危機への対策は最優先課題である。

 演説で、バイデン氏は「経済大国は取り組みを強化しなければならない」と述べた。米国はトランプ前政権のときに国際枠組み「パリ協定」を離脱し、世界を失望させた。現政権は今後、率先して対策を進めて大国の責任を果たしてもらいたい。

 サミットで焦点となったのは、各国の温室効果ガス排出削減目標の引き上げだ。米国は2030年に05年比50~52%減と、目標をほぼ倍増させると発表した。中国は30年までにCO2排出量のピークを迎え、減少に転じさせるとした。

 菅義偉首相も「30年度に13年度比46%削減」と述べた。従来の26%減から大幅な引き上げとなる。温暖化対策で日本は先進諸国に遅れており、取り組みを加速させることが急務だ。政府が目指す「50年までに排出実質ゼロ」に至るには、30年の目標は確実に達成する必要がある。

 だが、目標は具体策を伴っていると言えない。政府は再生可能エネルギーの導入や電気自動車への切り替えを促し、新産業の創出を図りながら、明確な工程を示してほしい。

 政府は50年の電源構成を火力と原子力で30~40%と想定する。大量のCO2を出す石炭火力発電には、国際社会から厳しい視線が向けられる。サミットで国連のグテレス事務総長も、その段階的廃止を要請した。日本も30年目標の見直しに合わせ、石炭火力の全廃を検討すべきだ。

 一方、原発は発電時にCO2を出さないが、東京電力福島第1原発の事故後、全国での再稼働は進んでいない。電力を原発に依存し続けるのも現実的ではない。

 50年の排出実質ゼロは世界に示した約束である。政府はその必要性を企業や国民に強く訴え、各分野での施策に全力を尽くさねばならない。

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