社説

  • 印刷

 政府は新型コロナウイルス対策として、兵庫、大阪など4都府県に出している緊急事態宣言を延長することを決めた。11日までの期限を5月末までとする。また新たに愛知、福岡の2県を追加する。

 菅義偉首相は「人流は大幅に減少した。効果は出始めている」と述べたが、肝心の感染者数は減っていない。大型連休に合わせた短期集中の対策と強調していたが、期間内に感染を抑制することができなかった。政府の責任は極めて重い。

 宣言後も感染力の強い英国型の変異株は全国に広がり、重症者は1100人を超え、過去最多になった。各地の医療機関では病床の逼迫(ひっぱく)が進み、危機的な状況は深刻化したと言わざるを得ない。

 兵庫県内でも入院治療中の患者約750人に対し、入院・宿泊療養待機者は約1800人に膨らんだ。病院で治療を受けられず、自宅で患者が死亡するケースも相次ぐ。神戸市内の介護老人保健施設では25人が死亡した。医療は極限にある。

 宣言を解除できる状況にないのは明らかだ。期限の延長とともに対策の見直しが急務である。

 理解に苦しむのは、対策の効果が出ない中で、制限を緩和する政府の判断である。

 百貨店などの大型商業施設への休業要請はせず、原則、無観客としてきたスポーツなど大規模イベントの制限も緩めるとした。これでは、何としても感染状況を改善させようとする強いメッセージは伝わってこない。

 ただ、大阪府などは休業要請を継続する方針で、兵庫県も土日の休業要請を続け、平日の時短営業を求めるという。自治体の強い危機感と政府の温度差が表れたかたちだ。隣接府県で対応が異なる事態も好ましいとは言えない。

 英国型に続き、さらに感染力が強いとも言われるインド型変異株への懸念も高まっている。国民は不安を募らせ、遅れているワクチン接種を求める声は強まるばかりだ。

 政府はワクチンの確保と接種体制の確立を進めるとともに、高齢者にワクチンが行き渡るまで、科学的知見に基づく対策に全力を挙げねばならない。ちゅうちょなく財政を出動し、困窮する事業者や個人をしっかりと支えることも必要だ。

 宣言後の人出は、1回目と比べて大きく増えている。一人一人の振る舞いが大切なのは当然だが、行動変容につながる言葉が重要になる。

 国民の協力を得るには、菅首相はこれまで後手後手に回った対策の失敗を率直に認めるべきだ。その上で感染収束に向けた明確な道筋を示してもらいたい。

社説の最新
もっと見る

天気(6月17日)

  • 29℃
  • ---℃
  • 20%

  • 27℃
  • ---℃
  • 20%

  • 30℃
  • ---℃
  • 20%

  • 30℃
  • ---℃
  • 20%

お知らせ