社説

  • 印刷

 学校法人森友学園の国有地売却を巡る決裁文書改ざん問題で、一連の経緯を記した「赤木ファイル」の存在を、国がようやく認めた。

 改ざんに加担させられことを苦に自ら命を絶った元財務省近畿財務局職員、赤木俊夫さんの妻雅子さんが国などに損害賠償を請求している訴訟で提出を求めていた。

 国は「探索中」として、1年以上も存否を明らかにしなかった。国会では、財務省が係争中を理由に野党による存否確認の要求を拒否してきた。最後は大阪地裁が回答するよう促し、開示に応じる方針に転じた。遺族を苦しめ、国民の疑念を招く極めて不誠実な対応である。

 今後、どの範囲まで開示されるかが焦点となる。

 国は、ファイルは赤木さんが個人的に作成したもので、職務上の行政文書ではないと主張する。開示に際しては第三者の個人情報など「公務の遂行に著しい支障を生じる恐れがある」と判断した部分は黒塗りなどのマスキングをする方針だ。ファイルは真相究明に向けた重要な証拠となる可能性があり、国が恣意(しい)的に開示の範囲を狭めることは許されない。存在を確認した時期や場所についても明らかにすべきである。

 森友学園への国有地売却では、巨額の値引きの過程で安倍晋三前首相夫人の昭恵氏の関与が疑われた。安倍前首相が「私や妻が関わっていれば、総理も国会議員も辞める」と国会で答弁した直後に、改ざんは始まっている。財務省が2018年6月に公表した調査報告書では、理財局長だった佐川宣寿氏が「改ざんを主導した」としたが、指示の有無や詳しい動機には触れていない。

 誰が、何のために改ざんに手を染めたのか、安倍前首相夫妻や官邸の関与はあったのか、土地売却の手続きは適切だったのか。全体像をつまびらかにしない限り、この問題で指摘されてきた政権と官僚との「支配と忖度(そんたく)」の実態には迫れない。

 ファイルは6月23日の公判に提出するという。通常国会の閉幕後であり、野党の追及をかわす狙いもあるのではないか。森友問題を巡る国会質疑では、麻生太郎財務相や佐川氏らが139回も事実と異なる答弁をしていたことが判明した。国会としても国に提出を求め、検証し直すのが筋である。ところが、財務省は訴訟への影響を理由に国会会期中の提出には応じられないとの考えを示した。こうした対応が国民の不信感を高めていることを猛省すべきだ。

 菅義偉首相は今こそ、国有地売却と文書改ざんの経緯について第三者による再調査に踏みだし、全容を解明しなければならない。幕引きにはまだまだ早い。

社説の最新
もっと見る

天気(6月20日)

  • 29℃
  • ---℃
  • 0%

  • 27℃
  • ---℃
  • 0%

  • 30℃
  • ---℃
  • 0%

  • 29℃
  • ---℃
  • 0%

お知らせ