社説

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 日本経済がコロナ禍で深刻な苦境に陥っている。ワクチン接種の遅れや緊急事態宣言の発令が響き、景気回復の兆しは見えてこない。

 2020年度の国内総生産(GDP)は前年度から4・6%減った。リーマン・ショック当時の08年度を超え、戦後最悪の落ち込みである。21年1~3月期のGDP速報値もマイナス成長で、年率に換算すると5・1%減だった。飲食や宿泊業など苦戦する業種が固定化されている。

 雇用情勢も極めて厳しい。20年度平均の有効求人倍率は、46年ぶりの下落幅となった。「コロナ解雇」も10万人を超えた。

 政府はワクチン接種の進展に全力を挙げるとともに、雇用を守るための公助を速やかに拡充するべきだ。

 「何としても事業を継続していただき、暮らしと雇用を守っていく。それが政治の責務」。今年1月、菅義偉首相は施政方針演説でこう述べた。しかし、支援策は場当たり的で不十分と言わざるを得ない。

 企業が従業員に払った休業手当の一部を国が補填(ほてん)する雇用調整助成金は、コロナ禍で上限額や助成率を引き上げる特例措置が設けられた。雇用維持の「命綱」といえるものだが、5月から縮小された。

 日額上限は1人当たり1万5千円から1万3500円に減り、最大で全額だった助成率は中小企業が10分の9、大企業が4分の3となった。政府は雇用保険財政の逼迫(ひっぱく)を理由に段階的に引き下げる方針だ。

 兵庫県など緊急事態宣言の発令地域では当初の特例が延長されたものの、7月以降の方針は示されていない。休業手当支給に伴う会社負担が重くなれば解雇がさらに増えかねない。特例措置は当面続けるべきだ。

 全国で停止中の観光支援事業「Go To トラベル」の予算を組み替えるなど、財政全体のバランスを見ながら財源を確保してほしい。

 一方、休業や営業時短の要請に応じた飲食店などに支払われる協力金は「目詰まり」がひどく、事業者の死活問題となっている。

 兵庫県では5月12日現在、2月8日~3月31日分の協力金が約半数にしか行き渡っていない。素早く支給できるよう、手続きや審査の簡素化が求められる。大企業の店舗でも1日最大20万円にすぎず、経営へのダメージは計り知れない。

 改正新型コロナ特別措置法は、休業要請に従わない飲食店への罰則を導入しながら、補償は盛り込まなかった。「損失の算定が困難で時間がかかる」との理由だが、暮らしと雇用を守るには、損失に見合う休業補償を法的に位置づけることが不可欠だ。

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