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 東京証券取引所に上場する2021年3月期(20年4月~21年3月)決算企業の業績発表がほぼ終わった。昨年来の新型コロナウイルス禍が業績に及ぼした影響に注目が集まった。

 世界1、2位の経済大国、米国と中国の急回復は、製造業を中心に追い風となった。一方、国内では新規感染者の増加で経済活動が制約され、内需をよりどころとする業種へのダメージはかなり大きい。「K字経済」といわれる二極分化がより鮮明になったことが気がかりだ。

 トヨタ自動車は連結純利益が前期比10・3%増の2兆2452億円と増益を確保した。主力市場の米中で自動車販売が急回復し、コスト削減も寄与した。ソフトバンクグループは株高を背景に連結純利益が4兆9879億円となり、日本企業の歴代最高を更新した。

 一方、国内外の移動制限を受け、鉄道や航空、観光など対面型サービス関連は総崩れの様相だ。全体33業種のうち14業種で赤字か減益となった。雇用をはじめとした各種支援金の支給など、政府は経済が回るような環境整備を急ぐべきだ。

 兵庫県内では大手の神戸製鋼所が黒字転換し、復配にこぎ着けた。鉄鋼事業は減産の影響で振るわなかったが、中国での建設機械販売や、寒波に伴う電力逼迫(ひっぱく)で電力事業が堅調だった。

 川崎重工業は比較可能な00年3月期以降で最大の赤字193億円を計上、無配に転じた。米航空機大手ボーイング向けなどの航空宇宙部門が落ち込んだ。営業損益に対し、コロナ禍のマイナス影響は全社で542億円に上った。

 3度の緊急事態宣言で百貨店の臨時休業などが強いられ、アパレル大手ワールドは過去最大171億円の赤字だった。

 ただ、22年3月期は川崎重工、ワールドともに黒字転換を見込む。回復傾向の海外市場で需要をしっかりと取り込むことが重要だ。一方「巣ごもり」などへの対応も急がねばならない。

 今後も緊急事態宣言が繰り返されるようでは、国内経済の回復は遅れるばかりだ。感染収束の鍵となるワクチン接種の加速に、政府は総力を挙げてもらいたい。

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