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 来春から主に高校1年生が使う教科書が大きく変わる。

 9年ぶりの学習指導要領の改定で主要科目が再編され、「現代の国語」「歴史総合」などが新設されたためだ。文部科学省は先ごろ、検定を終えた教科書を公表した。

 イラストや表を多用し、随所に「問い」を設け、議論や考察を求める構成が目立つ。フェイクニュース、LGBT(性的少数者)、新型コロナウイルス、ジェンダー(社会的性差)など近年のテーマも登場した。

 新学習指導要領は「主体的、対話的で深い学び」を掲げる。実現には、教員から生徒へ一方通行になりがちな講義スタイルではなく、生徒の関心や意欲を引き出す創意工夫が、これまで以上に求められる。

 文科省や教育委員会は、学校現場の多忙化の解消に努めるとともに、研修などで教員の専門性や指導力を高める必要がある。多様な実践例を共有するのも有効だろう。

 しかし、授業が画一化したり、予定調和的になったりしては本末転倒だ。生徒の習熟度に応じた指導ができるよう、現場に裁量を持たせることが重要である。

 新しい必修科目の「公共」は、「現代社会」に代わり設けられる。18歳選挙権や、来年4月には成人年齢も18歳に引き下げられることを踏まえ、政治や社会との関わりを考える主権者教育に重点を置く。

 ある教科書は、2018年に発覚した医学部の女性差別入試を特集した。育児や家事を女性の役割とする固定観念や医療現場の過酷さなどの背景を説明し、女性、男性双方の立場からの議論を促している。

 新聞記事なども活用しながらテーマを掘り下げ、多角的、多面的に情報を見極める力を育みたい。

 変化に向き合い、異なる価値観の相手とも意見を交わし、持続可能な社会の実現へ向け協働する-。新学習指導要領は、そうした次世代像を目標に掲げる。翻って、大人世代の多様性やしなやかさが問われているといえる。

 プログラミングやデータ活用などを教える「情報1」も必修となる。ところが情報の専門教員が不足しており、養成が急がれる。学校や地域によって指導力に差が出るようなことがあってはならない。

 センター試験の後継として今年始まった大学入学共通テストは、25年1月から新学習指導要領に対応した内容になる。

 思考力や判断力、表現力を重視するとしながらも、初回の共通テストには細かい知識を問う従来型の出題が見られた。高校が実際に議論や探究に力点を置いた授業をするには、大学入試の見直しも不可欠だ。

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