社説

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 他国の旅客機を、戦闘機を使って強制着陸させる。旧ソ連圏のベラルーシがアイルランドの民間機に対して取った力ずくの措置は、空の安全を揺るがす暴挙というしかない。

 航空の自由をも踏みにじる、国際法違反の疑いが濃厚な、悪質な行為である。多数の乗客と乗員の命を危険にさらした。「国家によるハイジャックだ」と欧米諸国が激しく非難するのは当然だ。

 「爆弾が仕掛けられた」との情報があったというが、爆発物は見つからなかった。実際は搭乗していた反体制派ジャーナリストを拘束するのが目的だったとみられ、到底看過できない。

 ベラルーシ政府は拘束したジャーナリストを即刻解放すべきだ。日本も国際社会とともに非難し、姿勢を改めるよう強く働き掛けねばならない。

 同国はルカシェンコ大統領の統治が約25年も続き、政敵を徹底排除する強硬姿勢で「欧州最後の独裁政権」と称される。

 昨年8月の大統領選でルカシェンコ氏が「6選」を宣言したが、選挙の不正を訴え、退陣を求める抗議デモが拡大した。

 だが政権は反対派や記者らを拘束、国外追放するなど、弾圧を続けている。国連人権委員会が非難決議を採択し、米国や欧州連合(EU)はルカシェンコ氏らの資産凍結などの制裁を実施して圧力を強めてきた。

 そんな中で強制着陸とジャーナリストの拘束は起きた。

 捕らわれたのは、独立ネットメディアの創設者プロタセビッチ氏だ。リトアニアに向かう便にギリシャから搭乗していた。

 弾圧の実態などを報道し、治安当局が「テロに関与した」として指名手配していた。目障りな人物だったのだろう。

 EUは、各国の航空会社にベラルーシ空域を飛ばないよう求め、ベラルーシ側にはEU域内の通過や着陸を禁じる制裁を追加した。

 孤立を深めるルカシェンコ政権だが、「新型コロナウイルスにウオッカが効く」と放言するなど、無責任な姿勢に国民の不満も高まる。7割の支持率も実際は3%との見方がある。

 力による支配はいずれ破綻する。民主化を求める国民の声に真摯(しんし)に耳を傾けるべきだ。

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