社説

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 世界的ファッションデザイナーとして60年以上第一線で活躍するコシノヒロコさんに、今年の神戸新聞平和賞が贈られる。

 大阪・岸和田生まれ。1981年から芦屋に居を構え、パリ・コレクションに参加するなど世界各地で作品を発表してきた。絵画の制作にも取り組む。2018年から神戸ファッション美術館(神戸市東灘区)の名誉館長を務めている。

 美しい色彩と独創性にあふれた作品の数々は見る者を元気にする。コロナ禍が広がった昨年3月、ショーを無観客に切り替えて動画配信し、前向きなメッセージを伝えた。

 今年4月に兵庫県立美術館で始まった展覧会は、緊急事態宣言に伴う臨時休館を経て再開されている。「疲れた人たちに、未来への希望を」とコシノさん。激動の時代を生き抜いた84歳の感性は、いまなおエネルギッシュでみずみずしい。

 文化賞の神戸フロイデ合唱団(神戸市中央区)は男女混成の市民合唱団として結成70周年を迎える。

 1951年、神戸労音合唱団として発足し、現在は20~80代の約120人が参加する。阪神・淡路大震災後は毎年夏の定期演奏会で追悼コンサートを続けてきた。

 コロナ禍で音楽公演の中止が相次ぐ中、感染防止に苦心しながら練習を重ね、昨年12月に恒例のベートーベン「第九」を県立芸術文化センターで披露した。厳しい状況を乗り越えた実績は、今後の音楽公演のあり方にも一石を投じるだろう。

 社会賞は姫路空襲の語り部活動を30年以上続ける92歳の黒田権大(ごんだい)さんに決まった。姫路市戦災遺族会の会長を2010年まで22年間務めた。

 同市内の学校を中心に開いた講演は300回を超え、空襲で祖父母を亡くした経験を子どもたちに伝えてきた。語りは日本の侵略の歴史にも触れる。1995年には姫路空襲時に飛来した米軍のB29爆撃機の元機長と姫路で対面、交流した。国や立場の違いを超えて平和を訴える姿勢に学ぶことは多い。

 スポーツ賞は陸上女子中長距離のホープ、小野市出身の田中希実さん。昨年、2種目で日本新記録を塗り替え、日本選手権も制して、5000メートルで東京五輪代表をつかんだ。

 コロナ禍で大会の中止・延期が相次ぎ、目標を見失いそうになった日々もあるに違いない。それでも諦めず練習に励み、飛躍を遂げた。伸び盛りの21歳。力強い走りに磨きをかけ、さらに高みを目指してほしい。

 受賞される皆さんは兵庫県内を拠点に挑戦を続け、苦難の時代に希望をともしてくれる存在だ。その努力と偉業をたたえ、今後の活躍にエールを送りたい。

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