社説

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 児童、生徒に対する教員の性暴力を防ぐための新しい法律が、超党派の議員立法で成立した。「わいせつ教員対策法」と呼ばれる。

 わいせつ行為をした教員が再び教壇に立つことがないよう、教員免許の再取得を制限するのが柱である。懲戒免職となった教員の情報を国がデータベースで管理することも盛り込んだ。

 子どもへのわいせつ行為は決して許されない。被害者はショックや混乱から時に自分を責め、心に深い傷を負う。新法は刑事罰の対象外も含め、本人の同意の有無にかかわらず「児童生徒性暴力」として禁じる。法整備を、教育現場での卑劣な行為を根絶する第一歩にすべきだ。

 現行制度では、わいせつ行為で懲戒免職となり、教員免許を失効しても3年たてば再び取得できる。そのため処分歴を隠して別の自治体で教員に採用され、同じ過ちを繰り返すケースがあった。

 文部科学省はそうした教員の永久追放を可能にする法改正を検討したが、職業選択の自由の侵害になるとして断念した経緯がある。

 新法は、免許の再交付に当たって都道府県教育委員会に事実上の拒否権を与えた。具体的には、再交付の申請があれば、教育委員会は第三者による審査委員会の意見を聞き、再交付の可否を決める。

 その際、わいせつ事案の内容や本人の更生状況などを踏まえて判断する。再交付を特例と位置づけたのが特徴だ。子どもの人権を最優先に、統一的な基準を設けるなど公平性と透明性を保つ審査が求められる。

 処分を受けた教員のデータベースは、教育委員会や私立学校など幅広い機関が閲覧する。情報漏えいや悪用を防ぐためのルール整備が欠かせない。本人の更生を妨げないためにも運用には慎重を期してほしい。

 一方、被害を受けても恥ずかしさや恐怖心から訴えられない子どももいる。周囲の大人が早期に異変を察知する必要がある。学校や教育委員会は、被害者の目線に立って調査を尽くしてもらいたい。

 子どもたちには、普段から年齢に応じて性暴力被害防止のメッセージを伝えることが重要だ。「自分の体を触られて嫌な気持ちになれば嫌だと言おう」「被害者は悪くない」「安心できる大人に相談を」などと学校や家庭で呼びかけたい。

 児童相談所の職員や保育士らによる子どもへのわいせつ事件も起きている。子どもに関わる職業従事者についても、新法は性犯罪歴を照会する制度検討を付則に盛り込んだ。議論を深めることが急がれる。

 子どもの安全のために、社会全体で問題意識を共有せねばならない。

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