社説

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 大阪府池田市の大阪教育大付属池田小学校で児童8人が死亡、教員を含む15人が重軽傷を負った校内児童殺傷事件から、きのうで20年となった。同校では追悼のための「祈りと誓いの集い」が開かれた。

 凶行の犠牲になった児童らはあまりに痛ましい。大切なわが子を失った遺族の胸中に心を寄せたい。事件を風化させず、悲劇を繰り返さないとの誓いを新たにしたい。

 卑劣で凄惨(せいさん)な事件だった。当時37歳の宅間守元死刑囚が学校内に侵入し、児童らを包丁で襲った。2年生の女児7人と1年生の男児1人が亡くなり、1、2年生の児童13人と教員2人が重軽傷を負った。

 同校の通学区域には兵庫県も含まれ、県内の児童も被害に遭った。

 元死刑囚は2003年、大阪地裁で死刑判決を受け、翌年執行された。謝罪もなく、動機などが十分解明されていないのは残念でならない。

 事件当時、教諭による不審者のチェックや児童の避難誘導、救急への連絡などで数々の反省点が残った。

 同校では、児童が自らの命を守る力を養う「安全科」の授業を導入したほか、教員による不審者対応訓練を年に5回ほど繰り返す。在校生らに事件を伝える展示もする。その努力は今後も続けてもらいたい。

 事件後、全国の学校園では門の施錠や防犯ベル、監視カメラの設置などの安全対策が進められた。

 文部科学省は事件の翌年、不審者が侵入した際の危機管理マニュアルを作った。09年には各校に安全計画などを義務付ける学校保健安全法が施行され、16年には、同省が事件の遺族の声も反映させた「学校事故対応に関する指針」をまとめた。

 ところが学校園への侵入事件は後を絶たない。01年の1771件から減っているものの、19年は546件あった。文科省の指針は事件事故の未然防止などについても記しているが、専門家は「教員に知られていない」と指摘する。教育現場はいま一度、意識を高める必要がある。

 懸念されるのは、校外で児童らを狙った事件が相次いでいることだ。18年5月、新潟市で小2女児が下校中に連れ去られ、殺害された。19年5月には、川崎市でスクールバスを待つ児童ら20人が殺傷された。

 1980年代から地域と連携する「開かれた学校」の考えが広がったが、池田小事件の後、全国の学校が門を閉ざした。しかし校外での安全確保には、社会全体で子どもたちを見守ることが欠かせない。

 学校を外部の危険から守るだけでなく、地域と深くつながり、協力する真の意味での「開かれた教育」が求められている。悲劇の重い教訓を継承していかなければならない。

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