社説

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 英国で開催された先進7カ国首脳会議(G7サミット)は、新型コロナウイルスの世界的流行が収まらない中、日本を含む主要国が連携の重要性を確認する場となった。

 軍事、経済両面で存在感を増す中国の強権姿勢や人権問題への対応、途上国などへのワクチン供与など感染収束に向けた対策、温室効果ガス排出量の大幅な削減方針…。首脳声明に盛り込まれた内容は、いずれも世界の平和と安定や人類社会の未来に関わる重要課題である。

 米国の大統領が「自国第一主義」のトランプ氏から「多国間主義」のバイデン氏に代わり、昨年までの歩調の乱れが修復されたのは、今回の大きな成果と言えるだろう。

 日本に問われるのは、課題解決にどのような役割を果たすか、国際貢献の中身と実行力である。

 バイデン氏は中国を「唯一の競争相手」と呼び、民主主義国の結集を呼び掛ける。新疆(しんきょう)ウイグル自治区の人権侵害、香港の民主主義抑圧にも「深刻な懸念」を表明し、中国に態度変更を求めている。

 中国は反発しているが、英国やカナダ、欧州連合(EU)は米国とともに対中制裁に踏み切った。首脳声明も中国を名指しして人権尊重などを要求する内容となった。

 声明は「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、両岸問題の平和的解決を促す」と明記した。これは沖縄県・尖閣諸島周辺への侵入など、中国の動向に神経をとがらせる日本の立場に合致した内容と言える。

 ただ、菅政権は経済関係に配慮して制裁に慎重な構えを取ってきた。中国に対話を促すなど独自の外交力を発揮しなければ、他のG7諸国との違いが際立つ恐れがある。

 同様の懸念はコロナ克服を目指す国際連携にも言える。G7は声明で、流行終息の目標を2022年に設定し、途上国を中心に、ワクチン10億回分の供与に相当する支援を進めるとした。中国やロシアの「ワクチン外交」に対抗する狙いがある。

 菅義偉首相はサミット前、ワクチンの国際調達枠組みに計10億ドル(約1100億円)を拠出すると表明した。途上国へのきめ細かな支援が求められるが、国内の接種回数はG7で最低という現状だ。その遅れが国際協調の足かせになりかねない。

 気候変動問題でも、G7は温室効果ガス排出量を30年までに10年比でほぼ半減させる方針を確認した。石炭火力発電の全廃に後ろ向きな日本への風当たりはより強まるだろう。

 菅首相は、サミットで表明した国際連携や貢献の内容を丁寧に説明し、国民の理解を求めるのが筋だ。国会を閉じるのでなく、まずは詳しく報告しなければならない。

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