社説

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 政府は、10都道府県に発令中の新型コロナウイルス緊急事態宣言について、病床逼迫(ひっぱく)が続く沖縄を除き20日の期限での解除を決めた。兵庫、東京、大阪など7都道府県は、まん延防止等重点措置に切り替える。宣言・重点措置の新たな期限は、いずれも7月11日となる。

 菅義偉首相は会見で「感染が再拡大し医療の逼迫の兆しが見られた場合は、対策の強化を含め機動的に対処する」と述べた。

 感染力の強い英国型変異株の拡大で、流行の「第4波」は兵庫県内で医療崩壊を招いたが、4月下旬をピークに状況は改善しつつある。県内の病床使用率は病床全体、重症病床とも20%台に回復した。

 「医療の確保」という宣言の目的は一定達成したが、今後も警戒が不可欠だ。宣言の解除が感染対策の緩みにつながらないよう、政府が正確なメッセージを発する必要がある。

 実際に東京などでは新規感染者の減少に下げ止まり傾向が見られる。感染力が英国株より強いとされるインド株も広がりつつある。ワクチン接種は加速しているものの、「集団免疫」の獲得にはほど遠い。

 前回の宣言解除後はすぐに感染再拡大を招き、歯止めになるはずの重点措置も効果を発揮しなかった。同じ失敗を繰り返してはならず、重点措置の中身が問われる。

 今回、政府は重点措置の適用地域で飲食店に対する時短要請を継続する一方、酒類提供は午後7時まで可能とした。感染状況に応じ、知事の判断で自粛を要請できるとした。

 兵庫県は重点措置の対象を神戸市や阪神間、姫路市などに絞り、土日祝日は酒類提供の自粛要請などを継続する。ただ、事業者の困窮や市民の「自粛疲れ」も限界を迎えている。厳しい要請を求める根拠を政府や県は丁寧に説明し、事業者や個人への経済支援を拡充すべきだ。

 また感染状況がどうなれば全面解除できるのか、明確な指標を示さなければ協力は得られまい。

 県は国や市町と連携し、インド株のスクリーニング検査や医療体制の強化などに全力を挙げる必要がある。感染状況によっては、宣言の再発令を視野に入れねばならない。

 最も懸念されるのは、約1カ月後の東京五輪による感染の再拡大である。開催を巡る世論が割れる中、菅首相の口から国民が安心できるような説明が聞けなかったのは残念だ。

 政府の専門家分科会の尾身茂会長ら専門家有志は、五輪開催に伴う感染リスクに関する提言を出す予定だ。観客動員などの方針を誤れば、東京を起点にした「第5波」を招きかねない。政府には、科学的な知見を踏まえた賢明な判断が求められる。

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