社説

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 日本を代表するものづくり企業が、またしても不正行為を繰り返していた。

 三菱電機で発覚した鉄道車両向け機器の検査不正は、杉山武史社長が引責辞任を表明するに至った。不正は35年以上も続いていた疑いがあり、杉山氏は会見で組織的な行為だったと認めた。外部の弁護士らによる調査結果と再発防止策を9月に公表するという。

 社会インフラの信頼性を傷つける重大なルール違反である。三菱電機はこれまでに納入した製品の安全性に問題はないと強調するが、説得力に欠ける。原因究明に調査を尽くし、丁寧に説明せねばならない。

 検査の実態は、極めてずさんなものだった。鉄道用の空調機器と、ブレーキやドアの開閉に使う空気圧縮機を手がける長崎製作所で、検査データの偽装が横行していた。顧客が求める性能試験を勝手に省略したり、別の結果を流用したりしていた。

 あきれたことに、架空データを作成するためのプログラムまであったという。不正の可能性がある製品の納入先は、国内の鉄道会社に限らず、欧米などにも及ぶようだ。影響はあまりにも大きい。

 さらに驚くのは、2016年以降、ほかの大手メーカーや自社の子会社で相次いで不適切な品質管理が判明したことを受けて3回の社内点検を実施したにもかかわらず、不正を見抜けなかった点だ。判明後の説明にも消極的な姿勢で、組織風土に問題があると言わざるを得ない。

 三菱電機は、ちょうど100年前の1921年に神戸で発足した。全国に22カ所ある製作所のうち、兵庫県内に9カ所を置き、地域経済の大きな支え手でもある。

 だが、ここ数年はグループ内で毎年のように品質問題や従業員のパワハラ自殺、サイバー攻撃による情報漏えいなどが起きている。株主が「不祥事のデパート企業になっている」と嘆くほどだ。

 事業部門の独立性の強さや内向きな社風などが、不正の温床になっているとの指摘もある。経営陣の責任は重い。再発防止と信頼回復には、抜本的な組織改革が必須だろう。

 杉山社長は会見で「自分たちの品質への考え方を絶対視していた。おごりがあった」と述べた。同じような反省の弁は、17年に神戸製鋼所で銅やアルミニウム製品の品質データ改ざんが露見した際にも、経営トップから聞かれた。

 納期や売り上げ、効率を優先するあまり検査や品質保証を軽視していなかったか。現場が声を上げやすい環境になっていたか。

 製造業に携わる全ての会社はいま一度、自己点検してもらいたい。

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