社説

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 新型コロナウイルス対策の「切り札」とされるワクチン接種を巡り、混迷が続いている。国から自治体向けの米ファイザー製の供給量が需要に追いつかなくなっているからだ。

 7月は都道府県庁所在地47市区の7割で希望量の半分以下となった。兵庫県全体でも37%しかなく、神戸市では約3割にとどまる。

 これを受け、全国の自治体で接種予約の一時停止や取り消しの動きが相次いだ。神戸市は新規予約受け付けの順次再開を発表したものの、65歳以上の高齢者を含む約10万人分のキャンセルを余儀なくされた。若い世代への接種開始のめどが立たない市区町村も少なくない。

 菅義偉首相は「高齢者の7月末までの接種完了」に始まり、「1日100万回」「10~11月に希望者全員に打ち終える」と矢継ぎ早に目標を打ち出し、その達成へ自治体に発破をかけ続けてきた。

 ワクチン不足は接種計画を積極的に進めてきた自治体ほど顕著で、アクセルを踏み込んだ途端に急ブレーキをかけられた格好だ。首長らが「はしごを外された」と憤るのは当然だろう。米モデルナ製も6月末までに調達できたのは契約分の半数にも満たず、職域での接種も申請の受け付け停止が続く。

 いずれも政府の場当たり的な対応や、ワクチンの需給バランスを見誤ったのが原因である。首相は猛省せねばならない。

 そもそもファイザー製の輸入量は4~6月の約1億回分が、7~9月には約7千万回分と、3割も減る契約である。

 これが分かっていながら、なぜ接種を急がせたのか。河野太郎行政改革担当相は陳謝こそすれ、納得できる説明はなされていない。

 未接種のワクチンの量を巡っても認識に食い違いがある。政府は自治体には計4千万回分の「在庫」があるとするが、自治体は「2回目の予約済み分で、在庫ではない」などと反発を強める。政府のワクチン接種記録システムに最新の実績が反映されない問題もあり、在庫量の正確な把握へ改善を急がねばならない。

 政府は8月以降、在庫が多いとみなした自治体への供給を一定割合減らす方針だ。そうした調整枠を設ける前に実態を精査し、柔軟に配分する運用も考えてもらいたい。

 感染力の強い「デルタ株」への置き換わりが進む。東京五輪も開幕した。感染拡大を抑え、医療の逼迫(ひっぱく)を防ぐには、あらゆる世代のワクチン接種率を上げていく必要がある。

 政府には迅速な接種に向けた供給量を確保する責務がある。確実な計画を早急に示し、国民の不安解消に努めなければならない。

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