社説

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 停滞する前線の影響で、11日以降、西日本を中心に記録的な大雨となった。住宅が土石流に巻き込まれるなどして、全国で少なくとも9人が死亡した。8月にこれほど長く前線が居座るのは異例で、3年前に甚大な被害をもたらした西日本豪雨の雨量を超えた地域もある。雨がやんでも地盤が緩んでいる場所もあり、引き続き警戒を怠らずにいたい。

 大雨は、日本付近がオホーツク海高気圧と太平洋高気圧との間の気圧の谷となったために降り続いた。北からの冷たい空気と西や南からの暖かく湿った空気がぶつかって前線ができ、線状降水帯も形成された。

 九州では、11日の降り始めから1週間足らずで、年間降水量の半分ほどを記録した地域もある。14日には福岡、長崎、佐賀、広島の各県に大雨特別警報が出された。江の川(島根、広島)や六角川(佐賀)など各地の河川で氾濫が相次いだ。

 兵庫県内でも、宍粟市や朝来市などで、8月の平年値の2倍を超える降水量に達するなど激しい雨となった。甲子園球場で開催中の全国高校野球選手権大会も順延が相次ぎ、日程の大幅変更を余儀なくされた。

 少しでも危険を感じたら、命を守るため早めの避難を心掛けたい。

 改正災害対策基本法が5月に施行され、「避難勧告」と「避難指示」の一本化など、早期避難を促す新たな情報伝達の運用が始まった。

 総務省消防庁によると、今回の大雨で、市町村が出す最高レベルの避難情報「緊急安全確保」が福岡、佐賀、長崎県などで発令された。今後の防災に生かすためにも、発令のタイミングや住民の避難行動への影響などについて検証が欠かせない。

 災害時に身を守るには、自宅や職場などが「土砂災害警戒区域」や、さらに危険度が高い「土砂災害特別警戒区域」に指定されているかどうかを知っておきたい。自治体のハザードマップ、土砂災害の危険性を示す気象庁のサイト「キキクル(危険度分布)」などで確認できる。

 新型コロナウイルスの新規感染者が全国で2万5千人を超えるなど、感染の「第5波」の収束が見通せない。密集への不安などから、体育館などの避難所に行くのをためらう人もいるだろう。安全な場所に住む知人や親戚宅、ホテルなどを利用する「分散避難」も考えておきたい。

 7月に静岡県熱海市で起きた土石流災害では、避難者を市内2カ所のホテルで受け入れた。避難所と比べて周囲への気兼ねがなく、コロナ対策としても有効だったという。

 台風シーズンも本格化する。国や自治体は、分散避難に対応する宿泊施設の確保や、経済的負担の軽減措置などの備えを急いでもらいたい。

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