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 新型コロナウイルスの感染拡大で、多くの中小企業は厳しい状況にある。この危機を経営環境の転機と捉えて事業を見直すことも重要-。2021年版中小企業白書はこう指摘した。

 先の国会で中小企業等経営強化法が改正され、中堅クラスに規模を拡大しても従来の支援策が受けられるようになった。

 ただし一律の規模拡大ではなく、地域に根差し、海外との競争力を持つ企業の育成に力点を置く。論議の過程では、中小企業の規模の定義を大きくする基本法改正を求める声もあった。

 中小企業は国内企業の99%以上を占め、雇用の7割を創出するなど経済の根幹を担う。だが感染の収束が見えない中、経営難に直面する事業者もある。

 法改正は事業再編を促し、生産性向上を図るのが狙いだが、再編ありきの政策では、独自の技術や人材などの経営資源が埋もれてしまう懸念がある。

 白書は、コロナ禍で地元やオンラインでの買い物が増えたとし、地域とのつながりやネット販売を重視する事業者の可能性を指摘する。菅政権には、経済や雇用を支える中小企業の役割を再認識してもらいたい。

 現状は資金繰り支援の効果で倒産件数が抑制される一方、20年の休廃業・解散件数は過去最多を更新した。経営者の高齢化などの課題がコロナ禍で加速したかたちだ。

 事業承継の重要性はかねて指摘されてきたが、企業の合併・買収(M&A)の利点を白書は強調する。成長戦略としてイメージが向上し、8割の従業員の雇用が継続されているとした。

 事業承継の好例として白書では山尾工作所(兵庫県稲美町)が紹介された。社長の急病に際し、事前の計画に基づいて継承し、大きな混乱がなかった。

 14年ごろからテレワークの導入を始めた兵庫ベンダ工業(姫路市)も、デジタル対応の事例として掲載された。政府は、こうした主体的な取り組みへの支援策に力を入れてほしい。

 兵庫県内ではコロナ対策の相談を機に、商工会議所の会員数が伸びている。脱炭素、デジタルなど環境変化に沿ったより積極的な支援が求められる。企業も自社の存在意義を再確認し、戦略を明確にする必要がある。

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