社説

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 自民党は、菅義偉首相の総裁任期満了に伴う総裁選の日程を9月17日告示、29日投開票と決めた。

 新型コロナウイルスの感染「第5波」に歯止めがかからず、緊急事態宣言が21都道府県に拡大している。重症者や自宅療養者は増え続け、入院できずに亡くなる人もいる。

 国民の命と健康が危機にさらされている状況で、一政党の「顔」選びに2週間近くもかけている場合か、と疑問の声が上がるのは当然だろう。自民党は、感染状況がさらに悪化すれば日程を延期するなどの対応も視野に入れなければならない。

 ただ総裁選は首相を実質的に決める重大な手続きにほかならず、総選挙にも影響する。実施する以上は、開かれた議論で政策や政権運営の問題点を洗い出し、危機を打開する道筋を国民に示す場とすべきだ。

 既に菅首相が再選を目指す意向を示し、岸田文雄前政調会長が立候補を表明した。高市早苗前総務相と下村博文政調会長も意欲を見せる。

 最大の争点は、言うまでもなく菅政権のコロナ対策の是非である。

 「切り札」とされた緊急事態宣言の効果は薄れ、ワクチン接種が後回しになった若い世代に感染が広がっている。共同通信の8月の世論調査で、7割近くが政権のコロナ対応を評価せず、内閣支持率も政権発足後最低の31・8%まで落ち込んだ。

 首相は25日の会見で「明かりははっきり見え始めた」と述べたが、多くの国民の実感とは程遠い。

 岸田氏は立候補会見で「政治の根幹である国民の信頼が崩れている」と指摘したものの、具体的なコロナ対策の見直しには触れなかった。

 総裁選では、感染防止策にとどまらず、コロナ禍で浮き彫りになった社会の課題をどう解決していくかも明確に語る必要がある。

 政権党としての姿勢も問われる。

 安倍前政権から引きずる森友学園問題や「桜を見る会」の疑惑、相次ぐ「政治とカネ」問題の説明責任は果たされていない。野党の臨時国会召集要求に応じず、コロナ対策で専門家の意見に耳を傾けないなど異論を排除する傾向は相変わらずだ。

 総裁選はこうした政権の体質を改め、国民の信頼を回復する機会でもある。ところが二階俊博幹事長や主な派閥の領袖(りょうしゅう)らが早々に首相の続投支持を表明している。政権内での主導権確保を狙った動きだろう。

 課題に向き合おうとしない「派閥の論理」がまかり通れば、国民との溝は深まるばかりではないか。

 その流れを断ち切れるかどうかは、3年ぶりに実施される党員・党友投票が鍵となる。一人一人がリーダーの資質と政策を見極め、1票を投じてもらいたい。

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