社説

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 天災は忘れる前にやって来る-。災害列島に生きている現実を痛感させられた「豪雨の夏」だった。

 この8月、西日本を中心に記録的な大雨が続き、各地で河川の氾濫や、長雨で緩んだ地盤が崩壊し、犠牲者が相次いだ。雨が降り続いた土砂災害警戒区域で命が奪われる構図は、7月に起きた静岡県熱海市の大規模土石流災害も同様である。

 きょうは「防災の日」。近年、地震以上に身近な脅威となっているのが水害だ。浸水や土砂崩れなどに見舞われる事態を、まずは「わがこと」と気構える必要があろう。

 幾多の自然災害を経験し、さまざまな防災対策が講じられてきた。だが毎年のように起きる甚大な豪雨災害は、なお残る日常の死角や油断を浮き彫りにし、備えの見直しを迫っている。過去の例にとらわれず、官民を挙げて激甚化する災禍に対処していくほかない。

 熱海市の土石流災害では、20人以上が亡くなり、なお行方不明者の捜索が続く。多くの人が長期間の避難生活を余儀なくされている。

 土石流の起点となった付近には、建設残土による盛り土があった。市への届け出を大幅に上回る量の残土で谷が埋められ、条例で設置が義務付けられた排水設備もなかったという。そこへ記録的な大雨が降って大量の水がたまり、盛り土が一気に崩落したとみられている。

 安全対策が不十分な盛り土は雨や地震に弱い。六甲山系をはじめ山裾に宅地が広がる兵庫県でも、過去に大規模な水害や土砂災害が起きており、思わぬ場所で突如地盤が崩れる危険がないとは言い切れない。

 土石流の引き金となる大雨のリスクは年々高まっている。一方、盛り土に関する制度が十分ではない問題が指摘されている。建設残土を処分する盛り土を規制する法律はなく、自治体が条例で対応しているのが現状だ。神戸市も昨年11月、一定規模以上を許可制とし、不適正な搬入防止への監視強化などを盛り込んだ独自の条例を施行した。

 ただ、自治体によって内容はまちまちで、規制が緩かったり、条例がない地域に残土が運び込まれたりする例が後を絶たない。全国知事会は残土処分のための盛り土を一律に規制する法整備を緊急要望した。政府は全国で盛り土の総点検を進めているが、惨事を繰り返さない実効性のある仕組みづくりが急がれる。

 これから台風シーズンが本格化する。避難所での新型コロナウイルスの感染予防も怠れない。異常気象が「日常化」しつつある今、何より命を守るための行動が求められる。一人一人が足元の安全を点検し、日々の備えを確かにしていきたい。

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