社説

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 カジノを含む統合型リゾート(IR)事業を巡る汚職事件で、収賄と組織犯罪処罰法違反(証人等買収)の罪に問われた衆院議員秋元司被告(49)=自民党を離党=に対し、東京地裁は懲役4年、追徴金約758万円の判決を言い渡した。現職の国会議員が贈収賄事件で実刑判決を受けるのは異例である。

 判決によると、秋元被告はIR担当の内閣府副大臣などを務めた2017~18年、IR事業参入を目指した中国企業側から計758万円相当の賄賂を受領した。保釈中の昨年6~7月には知人らと共謀し、捜査段階で賄賂の提供を認めた贈賄側に公判で虚偽の証言をするよう依頼し、現金の提供などを持ち掛けた。

 企業との癒着や証人の買収は、法律の順守を求められる議員にあるまじき悪質な行為である。その責任は重く、議員を辞職すべきだ。

 「政治とカネ」に関する自民党内の疑惑は、安倍政権時代から後を絶たない。河井克行元法相夫妻や菅原一秀前経産相の公職選挙法違反事件、吉川貴盛元農水相の鶏卵汚職事件が続いた。「桜を見る会」前夜祭の費用補〓(U+5861)(ほてん)問題では、公選法違反容疑などで告発され不起訴となった安倍晋三前首相について、検察審査会が一部を「不起訴不当」と議決した。

 一連の問題への自民党の認識の甘さや自浄能力のなさは、目を覆うばかりだ。秋元被告を含めていずれも処分をせず、説明も求めていない。自民党は判決を真摯(しんし)に受け止め、信頼回復への具体的な対策を早急に打ち出さなければならない。

 秋元被告は無罪を主張していた。対して判決は、現金供与があったとされる議員会館での面会について、「客観証拠から贈賄側の証言は十分に信用できる」と判断した。証人買収も秋元被告の主導と認め、「前代未聞の司法妨害」と非難した。

 秋元被告は衆院選への立候補の意志を示しており、即日控訴した。だが判決では「最低限の順法精神すら欠如している」とまで指弾された。議員の資格はないと言うしかない。

 菅義偉首相は官房長官時代からIRを成長戦略の柱に位置づけ、カジノ解禁への反対論を封じてきた。しかし、その利権構造やギャンブル依存症の増加、生活環境の悪化などを心配する声は根強い。懸念を払拭(ふつしょく)できているとは到底言えまい。

 首相の地元である横浜市長選挙でもIR誘致反対の候補が圧勝し、同市は誘致撤回にかじを切った。新型コロナウイルスの感染拡大で海外企業の参入撤退も相次ぐ。IRは地域振興に本当に必要なのか。誘致の旗振り役だった首相の交代は政策を見直す機会であり、自民党総裁選でもきちんと議論されるべきだ。

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