社説

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 将棋の藤井聡太王位・棋聖が、第6期叡王戦5番勝負の第5局で豊島将之叡王=尼崎市=を破り、三冠となった。19歳1カ月での三冠達成は、羽生善治九段が持つ22歳3カ月を28年ぶりに更新する快挙である。

 三冠を達成した棋士は歴代10人目だ。日々努力を積み重ね、手にした栄誉を心からたたえたい。

 羽生九段は「昨今の藤井さんの充実ぶりを考えると不思議とは思いません」と評した。偶然ではなく、実力通りの結果ということだろう。

 対局後、豊島前叡王は「課題がたくさん見えて勉強になった」と語った。竜王一冠に後退したが、巻き返しに期待したい。

 今期の叡王戦は両者2勝ずつで最終局にもつれ込んだ。藤井三冠は中盤以降、徐々にペースをつかみ、最後は持ち前の鋭い終盤力を発揮して勝利を引き寄せた。

 藤井三冠は7月、棋聖戦で渡辺明名人・棋王・王将に勝ち最年少でのタイトル防衛を果たした。その後8月の王位戦では豊島竜王の挑戦を退け、こちらも初防衛した。

 この王位戦まで藤井三冠は豊島竜王に大きく負け越していただけに、王位戦、叡王戦と続けて強敵のライバルを倒した意味は大きい。

 2016年に最年少の14歳2カ月でプロ入りした藤井三冠は、17年にデビューから無敗で最多の29連勝の記録を打ち立てた。昨年7月に最年少17歳11カ月で棋聖のタイトルを獲得し、8月には最年少で二冠に輝いた。今年は九段に昇段したが、これも史上最年少であり、その早熟ぶりには舌を巻くしかない。

 今の将棋界は、藤井三冠と渡辺三冠、豊島竜王、永瀬拓矢王座が全八冠を分けており、「4強」の時代と言われる。その争いの中でも藤井三冠は「タイトル自体は気にしていない」と平静だ。「最年少記録より、どこまで強くなれるかが自分にとって大事だ」と話すその目は、将棋界の頂点を見ているに違いない。

 日本将棋連盟前会長の谷川浩司九段=神戸市=は、藤井三冠が渡辺三冠と豊島竜王を下したことで、「19、20歳で一気に(第一人者への)道が開けてくる」と期待する。

 藤井三冠は10月8日に開幕する竜王戦7番勝負に挑み、豊島竜王と再び相まみえる。さらに棋王戦と王将戦でも挑戦者争いに残っており、本年度中に最大「六冠」を達成する可能性がある。どこまで強くなるのか。将棋ファンならずとも、興味は尽きない。

 好敵手たちも「藤井対策」に余念がない。激しさを増すタイトル争奪戦の行方とともに、若き才能が目覚ましく成長する姿から、ますます目が離せない。

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