社説

  • 印刷

 就職活動(就活)をしている大学生に、企業の採用担当者らが立場を利用して性的嫌がらせをする。情けないことに、そうした卑劣な「就活セクハラ」が後を絶たない。刑事事件に発展した例もある。

 2023年春に卒業予定の大学3年生の就活が間もなく活発化する。職場でのセクハラと同じく就活生へのセクハラはあってはならず、言語道断だ。その根絶は企業の責務であり、対策を急いでもらいたい。

 一方で学生には、万が一被害に遭ったら泣き寝入りしないよう伝えたい。セクハラかどうかの判断がつかなくても、就活で不快な思いをしたら、大学や各地の労働局などにすぐに相談してほしい。

 被害は女性、男性ともに広がっている。厚生労働省が今春に公表した調査結果では、就活生の約4人に1人が被害を受けたと答えていた。内容は「性的な冗談やからかい」が最も多く、「食事やデートへの執拗(しつよう)な誘い」「性的な質問」が続いた。男性から男性への発言なら構わないだろう、という旧態依然とした意識も企業側に残っているようだ。

 加害者を尋ねたところ、インターンシップ(就業体験)で知り合った従業員が最多で、採用面接担当者、企業説明会の担当者-の順だった。志望先企業の役員という回答もあった。あきれるほかない。

 就活を支援する企業によると、新型コロナウイルスの影響でオンラインでの面接が増える中、画面越しに面接官が「全身を見せて」と指示したり、プライベートに踏み込んだ質問をしたりする悪質な事例があるという。大学は学生に注意喚起し、対処法を伝える必要がある。

 就活セクハラについての指摘は以前からあったが、一昨年に社会問題化した。大林組や住友商事の男性社員が、就活中の女子学生にわいせつ行為や乱暴をしたとして逮捕されたのがきっかけだ。今年は、近鉄グループホールディングスの採用担当社員によるセクハラが発覚した。

 しかし、防止に向けた企業の動きは極めて鈍い。厚労省の調査で、就活セクハラの対策について「特にない」と答えた企業は7割を超えた。政府は経済界に就活セクハラ防止を要請しているが、企業任せでは限界があると言わざるを得ない。

 昨年6月に施行された女性活躍・ハラスメント規制法は、企業に社員研修や相談窓口設置などのセクハラ防止対策を義務付けたものの、保護対象は従業員に限られる。就活生も早急に対象にしなければならない。

 さらに踏み込んで、ハラスメント行為自体を禁止することが求められる。新たな被害者を出さないためにも国は法整備に着手すべきだ。

社説の最新
もっと見る
 

天気(10月21日)

  • 19℃
  • 14℃
  • 10%

  • 17℃
  • 12℃
  • 50%

  • 19℃
  • 13℃
  • 10%

  • 18℃
  • 12℃
  • 20%

お知らせ