社説

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 兵庫県淡路市岩屋の沿岸で水上バイクが事故を起こし、3人が死亡した。神戸海上保安部は消波ブロックに衝突し、3人が投げ出されたとみて、業務上過失致死と業務上過失往来危険容疑を視野に捜査している。

 乗っていたのは神戸市内の20代の男女と30代の男性で、死因はいずれも脳挫滅だった。不慮の事故で若い命が失われたことは痛ましい。

 ただ、事故の通報者は「3人乗りの水上バイクが猛スピードで走っていた」と話していたという。この海岸には釣り人が訪れることもあったといい、当事者以外の人が巻き添えになる恐れもあった。危険な事故だったと指摘せざるを得ない。

 水上バイクを巡っては明石市が今年8月、同市の海岸で危険運転をしたとして、殺人未遂容疑などで、容疑者不詳のまま同保安部に刑事告発したばかりだった。これが警告として受け止められず、重大事故が発生してしまったことは残念だ。

 近年、マリンレジャー人気の高まりとともに、水上バイクの事故が目立つ。2011年に明石市で水上バイクから女性が転落して死亡、18年には淡路市で水上バイクにけん引されたバナナボートが別の水上バイクと衝突して男性が亡くなった。

 運転には特殊小型船舶操縦士の免許が必要だが、比較的短期間で取得できる。海上保安庁によると、過去5年間の統計では、衝突事故原因のうち、操船不適切と見張り不十分が8割を占めたという。

 兵庫県内では遊泳者のいるエリアを走ったり、漁船の近くで運転したりする迷惑なケースも相次いでいる。だが速度などを制限する法令はなく、水上バイクが走行できるエリアを定めるローカルルールなどを求める声が上がっていた。

 明石市は刑事告発と前後し、県、警察、海上保安部と合同で海岸パトロールを行ったほか、官民の関係団体による「水上バイク等連絡会議」を開いた。淡路市では市議会でこの問題が取り上げられていた。

 今回の死亡事故はその直後に起きた。国や自治体、関係機関は危険防止の取り組みを早急に具体化させなければならない。

 事故を受けて、斎藤元彦県知事も「広域的な問題」と受け止め、対策に乗り出す姿勢を見せた。「水難事故等の防止に関する条例」の改正による罰則強化や飲酒運転への対応などを示唆した。マリンレジャーを楽しむ権利には配慮しつつ、安全確保に有効な施策を求めたい。

 水上バイクの事故は全国各地で起きており、県条例にとどまらず法律の整備も不可欠だ。重大事故を繰り返さないため、政府として対策に乗り出す必要がある。

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