社説

  • 印刷

 耳を疑う許しがたい不祥事が、またも兵庫県の教育現場で起きた。

 姫路市立小学校の男性教員(39)が2018年度から、担任する特別支援学級で複数の児童に対し、暴言や体罰を繰り返していたことが分かった。人事権を持つ県教育委員会はこの教員を懲戒免職処分にし、監督すべき立場の校長については、適切な対応をしなかったとの理由で減給10分の1(1カ月)とした。

 特別支援学級では子どもの特性に合わせたきめ細かな配慮や指導が求められる。その学級で、あろうことか障害を揶揄(やゆ)し、「生きている価値がない」などと人格を否定する発言が確認された。教員としての資質を問う以前の問題であり、極めて悪質だ。児童や保護者らの心の傷は大きく、処分は妥当といえる。

 さらにあきれるのは、校長ら管理職が現場から報告を受けながら問題を事実上放置し、結果的に児童への被害を広げたことである。

 この特別支援学級は自閉症や情緒障害のある児童が在籍し、男性教員と授業を補佐する女性職員の2人体制だった。暴言や体罰は18年夏ごろに始まり、女性職員は少なくとも7回にわたって管理職に相談した。しかし校長と教頭は事実確認もせず、口頭注意で済ませた。

 その結果、男性教員の言動はエスカレートした。今年6月、女性職員がそれまでの問題行為を記録したメモを提出したところ、校長は深刻さに気づき、姫路市教育委員会に初めて報告したという。ただ、18年度当時の校長は定年退職しており、処分の対象から外れた。

 校長と教頭の人権意識の低さと、「事なかれ主義」には暗然とする。現場からのSOSを軽視したのは組織運営に問題があったからではないか。管理職の責任は重い。

 被害児童は6人に上る。プールを怖がって泣く児童の頭を押さえて水面につける、腕をつかんで振り回すといった体罰のほか、「死ぬしかない」「転校しろ」などの信じがたい暴言が計34回に及んだ。

 障害などから気持ちを他者に伝えるのが難しい児童が多く、その恐怖やつらさを思うと言葉がない。

 子どもたちの心のケアはもちろん、保護者と問題意識を共有する努力が必要だ。一連の経緯や今後の対策を丁寧に説明してほしい。

 19年に神戸市立小学校で発覚した教員間の暴行・暴言問題は記憶に新しい。専門家による再発防止検討委員会は、ハラスメントやいじめに対する教員の意識の低さや管理職のマネジメント力不足を指摘した。

 同じ課題が再び問われている。全学校は「わがこと」として問題の芽がないか再点検を急ぐべきだ。

社説の最新
もっと見る
 

天気(11月29日)

  • 15℃
  • 6℃
  • 0%

  • 15℃
  • 1℃
  • 0%

  • 16℃
  • 6℃
  • 0%

  • 16℃
  • 2℃
  • 0%

お知らせ