社説

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 新型コロナウイルス対策の行動制限を緩和する実証実験が、10月から広域で始まる。ワクチン接種の進展を背景に、経済活動再開の具体的な範囲やスケジュールを探るのが狙いだ。

 制限緩和は経済界が切望するものの、感染症対策の専門家や医療関係者などは慎重姿勢を崩していない。実証実験には兵庫県など13自治体が参加する意向だ。政府や自治体は課題を整理し、科学的根拠に基づく緩和の在り方を慎重に見極めなければならない。

 政府は、11月ごろをめどに、接種や陰性の証明を条件に緊急事態宣言下でも旅行や大規模イベントを認め、飲食店の酒類提供も可能にする方針だ。実験では、十分な感染対策をして第三者認証を受けた飲食店などを対象に営業時間延長などを試し、店頭で証明書を確認できるかなどを検証する。

 長引く自粛要請の影響を受ける飲食店や宿泊施設にとって、営業の再開は死活問題だ。事業者や経済団体が歓迎するのは理解できる。ただ、ワクチン2回接種後の人が感染する「ブレークスルー感染」の報告があり、専門家は「予防効果は万能ではない」と警鐘を鳴らす。

 懸念されるのは、実証実験の取り組みが誤ったメッセージになり、気の緩みにつながってしまうことだ。感染対策に悪影響が出ないよう時期や手法を吟味してもらいたい。

 行動制限の緩和には、接種済みの証明書かPCR検査の陰性証明のいずれかを示す「ワクチン・検査パッケージ」の仕組みを活用する。社会活動のために接種が事実上義務付けられるようになる恐れもある。体質やアレルギーなどの理由で、接種できない人が不利にならない制度設計も考える必要がある。

 コロナの感染者数や病床の逼迫(ひっぱく)は改善傾向にある。だが接種が進んだ欧米などでは規制が緩み、感染の再拡大も見られる。

 こうした先行事例も参考にしつつ、国内の行動緩和で感染状況がどうなるか、実験の結果を速やかに公開すべきだ。国民の懸念を解消し、理解を求めるには客観的検証が欠かせない。

 経済活動との両立を図るためにも、政府は第6波を見据えた感染対策を怠ってはならない。

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