社説

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 政府は、兵庫など19都道府県に発令中の新型コロナウイルス緊急事態宣言を、期限としている30日で全面解除すると決めた。8県のまん延防止等重点措置も終了させる。

 ワクチンの接種が進み、新規感染者の減少傾向などを踏まえた判断だが、医療現場の逼迫(ひっぱく)は完全には解消されていない。過度な緩みを招かないよう、マスクの着用など基本的な対策を怠らないようにしたい。

 宣言と重点措置が全国のどこにも出ていない状況は約半年ぶりとなる。解除後も知事の判断による自粛要請は継続する一方、飲食店などの規制は段階的に緩和する方針だ。

 感染力の強いデルタ株が猛威を振るい、全国で80万人以上が感染した「第5波」は8月下旬以降、急激に収まりつつある。国内の新規感染者数は8月半ばに2万5千人を超えていたが、おとといには1147人と20分の1以下に減った。

 ただ感染者数が減少した理由は、はっきりとは分かっていない。数値は下がったとはいえ、多くの自治体で新規感染者数や病床使用率は「ステージ3(感染急増)」にある。油断はできない。一方、緊急事態宣言の長期化で多くの事業者が苦境に陥り、人々も自粛続きで疲弊するなど宣言の効果自体が薄れている。経済活動再開など「出口」を探るための戦略が求められているのは確かだ。

 退陣する菅義偉首相は会見で「ワクチン接種率は米国を超えるところまで来た」と自賛した。だが第5波では重症者が連日最多を更新し、首都圏を中心に入院できずに命を落とす人が相次いだ。課題と教訓を次の首相に引き継いでもらいたい。

 兵庫県は約40日ぶりの宣言解除となるが、なお421人が入院中で、713人が自宅療養を続けている。

 県は感染再拡大の防止へ、3週間の対策期間を設け、飲食店の営業時間を県の認証店は午後9時まで、非認証店は同8時までとし、酒類の提供は原則として認証店のみ閉店の30分前までと要請する。

 感染が流行しやすいとされる冬場に向かう時期に行動制限を緩和するのはリスクも伴う。感染再拡大の「第6波」を想定した解除後の対策が鍵となる。第5波を教訓に、速やかに必要な医療が受けられるよう、病床の確保や自宅療養者の健康観察などの体制強化が急務だ。

 ワクチン接種の進展と抗体カクテル療法の導入で重症化を防げるようになるなど局面は変わりつつある。「感染対策と日常生活の両立」を実現できるかどうかの正念場である。政府はこれまでの場当たり的な対応を反省し、科学的知見に基づく対策を、説得力のある言葉で発信しなければならない。

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