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 日本、米国、オーストラリア、インドの首脳が先日、米ワシントンで会談した。「クアッド」と呼ばれる4カ国の新たな枠組みに基づき、協力を拡大するのが目的だ。

 4首脳の対面会談は初めてで、日本からは退陣目前の菅義偉首相が参加し、バイデン米大統領ら各国首脳と話し合った。菅首相は、クアッドの連携を示したいバイデン氏の要請で最後の外交舞台に臨んだ。

 会談後の共同声明では「自由で開かれたインド太平洋の安全と繁栄」をうたい、「威圧にひるまず国際ルールに基づく秩序を推進」と明記した。覇権主義的な動きを強める中国を念頭に置いているのは明白だ。

 ただ、クアッドが中国との溝を深める結果になれば、逆に平和と安定を損なう恐れがある。中国が自らの姿勢を見直す契機となるよう、民主主義や「法の支配」の優位性を具体的に国際社会に示す必要がある。

 英語で「四つで1組」などを意味するクアッドは、2004年のスマトラ沖地震で救援・復興活動を担った4カ国の協力が出発点だ。19、20年には、台頭する中国をにらんだ安全保障協力を主なテーマに外相会談を開き、連携強化で一致した。海上自衛隊が参加した共同訓練もインド洋上で実施している。

 自国第一主義のトランプ前政権とは対照的に、バイデン政権は同盟国や友好国との協調を重視し、4首脳は3月にテレビ会議で意見交換をしている。今回はそれを引き継ぎ、多くの分野で足並みをそろえた。

 半導体など重要技術の供給網強化や、気候変動や防災面の衛星データ共有、新型コロナワクチン12億回分超の世界への供与-などである。

 沖縄県・尖閣諸島への中国艦艇の侵入を見据えて「ルールに基づく海洋秩序」や「国際法の順守」を宣言に盛り込み、北朝鮮による日本人拉致問題の即時解決を確認した。これらは日本にとって成果と言える。

 米国との同盟関係を後ろ盾にしつつ、経済的に密接な関係にある中国とどう向き合うか。オーストラリアやインドも中国との関係には微妙な温度差があり、強い姿勢を掲げる米国を含めた枠組みは、調整役を期待される日本の試金石となるだろう。

 このタイミングで、中国が自由貿易を促進する環太平洋連携協定(TPP)への加盟を申請した。対抗して台湾も加盟申請し、TPPが新たな対立の場となる恐れがある。議長国の日本は、ここでも出口を見いだすかじ取りが求められる。

 自民党新総裁の岸田文雄氏は、首相に就任すれば、これらに答えを出さねばならない。対話を通して信頼を深める外交力で、「平和国家」の存在感を発揮してもらいたい。

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