社説

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 岸田文雄首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が、きょうで3日間の日程を終える。

 「政権選択」となる衆院選前の最初で最後の国会論戦である。直面する政治課題に対し、首相が具体的な処方箋を語り、野党が説得力のある対案を掲げられるかが問われた。だが野党は選挙の公約を一方的に主張し、首相の答弁は所信表明の言葉をなぞるだけだ。これでは議論は深まりようがない。

 立憲民主党の枝野幸男代表は、新型コロナウイルス対策を巡り、医療危機を招いた政府の対応を「失敗」と断じ、反省を迫った。その上で、感染「第6波」に備えたPCR検査の拡充や危機管理体制の強化に向けた具体的な方策をただした。

 首相は「コロナ病床が十分に稼働しなかった点など、この夏の反省も踏まえ、対応策の全体像を早急に示す」などと述べたが、具体策や時期は言及しなかった。

 経済政策では、与野党がともに分配を巡って競い合う形となった。

 首相が掲げる「成長と分配の好循環」に対し、枝野氏は「好循環の出発点は適正な分配にある」と分配に重点を置く方針を強調した。どのようにして格差の是正につなげ、中間層を支援していくのか。中身を深めるべき場であるはずが、議論はかみ合わないままだった。

 首相は、格差是正策として総裁選で公約した株式売却益など金融所得への課税強化を先送りすると表明した。「賃上げに向けた税制強化など、まずやるべきことがある。優先順位が重要だ」と説明したが、トーンダウンの印象は否めない。分配戦略の財源は借金頼みとなり、首相の実行力に早くも疑問符がつく。

 首相は「聞く力」や「丁寧な説明」をアピールする。ならば、野党の提案にも耳を傾け、政策の見直しに応じる姿勢も必要ではないか。

 安倍、菅政権の「負の遺産」に、首相がどう向き合うかも注目された。しかし所信表明に続き、「ゼロ回答」に終始した。

 自民党の甘利明幹事長の現金授受疑惑など「政治とカネ」の問題や、森友学園を巡る財務省の公文書改ざん問題、桜を見る会を巡る疑惑について、首相はいずれも再調査を拒否した。日本学術会議が推薦した会員候補6人の任命拒否も撤回しなかった。国民の多くは納得しておらず、これでは政治への信頼回復などおぼつかない。

 衆院はあす解散される。限られた審議で国民に十分な判断材料を提供できるはずもない。31日の投開票に向けて、与野党はより具体的な政策や理念を競い合い、有権者に選択肢を示すべきだ。

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