社説

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 インターネット上で誰もが自由に情報を発信できる時代は、同時に真偽不明の情報や悪質なデマが広がる弊害も伴う。事実を丁寧に検証し、正しく伝える報道機関の役割は重要性を増している。新聞週間(15~21日)にあたり、その責任の重さを胸に刻みたい。

 長引く新型コロナウイルス禍では会員制交流サイト(SNS)を中心にして、感染者や医療従事者への偏見と中傷、ワクチン接種に関する根拠不明の言説などが拡散し、混乱を招いた。膨大な情報の中から、正しく必要なものを選び取ることは難しくなる一方だ。

 今年の新聞週間の代表標語に選ばれた「答えなき 時代のヒントを 探る記事」が、コロナ禍における新聞の役割を的確に言い当てている。作者の会社員山野大輔さん(46)=堺市=は「先行きが見通せない中、新聞をめくることで、確かなものや『答え』を知りたい気持ちが募っている」とコメントを寄せた。

 総務省が発表した今年1月の調査で、情報を得る手段としての重要度は新聞が52・8%で、テレビ(86・7%)とネット(77・3%)に後れを取っている。これに対し、メディアとしての信頼度は新聞が66・0%で、テレビ(61・6%)、ネット(29・9%)を上回った。

 ネット全盛期にあっても、地道な取材に基づく確かな情報の価値は変わらない。根強い信頼に応えるためにも、新聞人は謙虚に事実に迫る姿勢を怠らずにいたい。

 また、ネット上を飛び交う声の中にも見過ごしてはならない社会問題が含まれている。最近では、政権の人事権乱用と批判が高まった検察庁幹部人事や、若い女性らが声を上げ支援の輪を広げている「生理の貧困」問題などだ。

 こうした声をすくい上げ、問題点を明らかにして政治や社会を動かすのは新聞の新たな役割だろう。

 2021年度の新聞協会賞ニュース部門は、愛知県知事のリコール署名が佐賀県内で組織的に大量偽造されていた事実を特報した中日新聞社と西日本新聞社に決まった。

 民主主義の根幹を揺るがす重大事件を、発行地域が異なる両紙が連携してあぶり出した調査報道として高く評価された。地方紙のネットワークは、読者の「知る権利」に応える新たな力になるに違いない。

 メディアへの厳しい目も忘れてはならない。取材過程を透明化し、報道する際の迷いも伝えて理解を得る姿勢が要るのではないか。正しい答えがなかなか見つからない時代だからこそ、読者とともに地域の課題に向き合い、信頼に応える努力を続けていくことを改めて誓う。

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