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 衆院選がきのう公示され、12日間の論戦がスタートした。9党が候補者を擁立し、計1051人が立候補を届け出た。210を超える小選挙区で与野党それぞれの統一候補が対決する。政権選択の構図が整った。

 首相就任から27日後の投開票は戦後最短だ。争点は多岐にわたる。新型コロナウイルスの感染再拡大への備えや経済の立て直しが急がれる。外交・安全保障や、「政治とカネ」を巡る問題など安倍、菅政権の「負の遺産」への対応も問われる。各党、各候補者は掲げる政策の違いを分かりやすく示す責任がある。

 主要な論点の一つが、格差是正を巡る考え方や手法である。

 経済政策アベノミクスが格差を助長し、コロナ禍が拍車をかけたとされる。自民党が成長と分配の好循環による「分厚い中間層の再構築」を掲げ、立憲民主党は「『1億総中流社会』の復活」を公約にするなど、与野党がともに分配重視の考えを示す。大規模な現金給付の方針でも各党の主張は似通うが、問われているのはそれをどう実現するかだ。

 岸田文雄首相は分配政策の柱として総裁選で金融所得課税の見直しを掲げながら、それを先送りした。18日の党首討論会で公約の後退を追及されると、「経済全体の活力、循環も考えて結論を出さねばならない」とかわした。数十兆円規模の経済対策も財源は国債となる見通しで、借金頼みの姿勢が鮮明になっている。

 野党も痛みを伴う財源の議論に及び腰だ。大半の党が法人税の累進税率導入など増税策と同時に、消費税率5%への引き下げなど減税策を打ち出す。その収支は明確ではない。

 人口減少や少子高齢化などの現実を直視すれば、受益と負担の議論は避けて通れない。各党は財政再建の道筋を明示した上で、政策を競い合うべきである。

 約9年間の「安倍・菅政治」をどう総括するかも忘れてはならない。

 森友学園を巡る公文書改ざんや日本学術会議の任命拒否、甘利明自民党幹事長の現金授受など「政治とカネ」の問題は政治不信を招いた。

 首相は「民主主義の危機」と訴えるものの、こうした「負の遺産」の清算に消極的では民主主義の再生はおぼつかない。一方、候補を一本化した立民など野党が基本政策の違いをどう乗り越えるかも明らかではない。それぞれの政治姿勢を見極めることも選択の指針となる。

 兵庫県内の12選挙区では過去最少の38人が立候補した。社会保障の将来像や子育て、地方再生など暮らしに関わる政策課題も重要な争点となる。各党の公約や候補者の訴えを吟味し、将来への責任を果たす1票を投じたい。

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