社説

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 新型コロナウイルスの新規感染者が急速に減少している。兵庫県では病床使用率が10%を下回り、県内全域の飲食店に対する営業時間短縮要請なども、きょうで終了する。

 だが、年末に向けて感染の「第6波」到来も予測され、警戒と備えを怠ることはできない。衆院選では、与野党がコロナ対策を公約の重点施策に据える。ただ、医療体制の強化や検査能力の拡充、ワクチンの開発支援など主張の重なった部分が目立ち、違いが分かりにくい。有権者への丁寧な説明を求めたい。

 この春からの「第4波」では兵庫や大阪で病床が逼迫(ひっぱく)し、自宅で亡くなる例が相次いだ。夏の「第5波」でも首都圏を中心に同様の事態になった。「災害レベル」の状況に陥り医療崩壊が起きたと言っていい。

 感染の拡大を抑えきれなかった一因は、菅政権が経済再生に軸足を置くあまり、科学的な知見を軽視した楽観姿勢を続け、場当たり的な対応に終始したことにある。

 国民の命と健康を守るためには、危機に強い医療が欠かせない。

 自民党は「病床や人材の確保に全力で取り組む」とし、年内の経口薬普及促進を公約で示す。公明党は、ワクチン・治療薬の国産化を国家戦略に位置付けるとする。

 病床確保などを目指す姿勢は野党も同じだが、国が進めてきた公立・公的病院の再編・統合計画には、多くの党が批判的だ。立憲民主党は計画の見直しを掲げ、共産党、れいわ新選組、社民党は中止を訴える。

 公立病院は数多くのコロナ患者を受け入れ、感染対策で重要な役割を果たしてきた。その再編・統合は、将来の医療や新たな感染症対策にも関わる重要な論点だと言える。

 力点の違いがあるとすれば、司令塔機能創設への姿勢だろう。

 自民、公明両党が「司令塔機能の強化」にとどめたのに対し、立民は「首相直轄の司令塔組織を新設」と踏み込んだ。日本維新の会と国民民主党も「日本版CDC(米疾病対策センター)創設」を提唱する。

 コロナ禍では危機管理体制の不備が明らかになった。掛け声倒れにならぬよう、各党は組織の法的な位置付けや実現への手順を示すべきだ。

 国内でワクチン接種を2回終えた人は全人口の7割に近づき、コロナ対策は新たな局面を迎えつつある。接種済証か検査の陰性証明を提示する「ワクチン・検査パッケージ」を社会・経済活動の制限緩和要件にする手法の是非や、検査費用負担の在り方など問うべき課題は多い。

 政治空白は許されない。各党はこれまでの対策の問題点を総括し、選挙戦で、次の波に即応できる具体的な論戦を展開してもらいたい。

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