社説

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 総選挙で与野党は競って「分配」の重要性を訴えている。確かに、経済政策アベノミクスが押し広げた格差の是正には、再分配の強化が欠かせない。コロナ禍のような危機に際しては、なおさらである。

 だからこそ元手となる「パイ」の確保策を併せて論じる必要がある。それは人口が減る中で経済をどう成長させるか、という課題に向き合うことでもある。短期的な視点にとどまらず、社会の持続可能性に軸足を置いた議論を戦わせてほしい。

 分配は大きく二つに分けられる。税によるものと、企業によるもの-つまり賃上げである。

 税による分配策では、自民、立憲民主、公明、共産、国民民主の各党が、コロナ対策を兼ねて低所得世帯などへの現金給付を公約にした。日本維新の会は、生活に必要な最低限の金額を一律給付する「ベーシックインカム」の導入検討を挙げた。

 れいわ新選組や社民党を含めた多くの野党は、消費税率の引き下げや廃止も訴える。財源として大企業や富裕層への課税強化を打ち出す。

 一方で自民は、成長分野への積極投資による経済活性化が分配の原資を生む、との考えだ。

 ただし与野党とも、肝心の財源の議論についてはあいまいな部分が多い。これでは財政再建がさらに遠のきかねず、有権者は懸念を抱かざるを得ない。各党は財源確保の具体策を示し、説明を尽くすべきだ。

 分配のもう一つ、賃上げの重要性は論をまたない。日本の所得は30年間、先進国で唯一横ばいだ。最低賃金も低い。株主への配当や内部留保が増えているのとは対照的に、働き手への労働分配率は10年前から下がり続ける。先行きの不安から、個人消費が伸びないのは当然だ。

 与野党の多くが賃上げを重要施策に据えた。野党では最低賃金を時給1500円に引き上げる公約が目立つ。自民は給与を上げた企業を税制面で優遇して賃上げを促すとしている。だが同様の税優遇は安倍政権でも実施し、菅政権も引き継いだ。どれだけの賃上げ効果があったのか、検証することが先だろう。

 政府に求められるのは、生産性や付加価値の向上により、企業が賃上げできる環境を整えることだ。デジタル化推進のためのインフラ整備や人材育成について、各党の突っ込んだ議論を期待したい。

 持続可能な環境をつくる「グリーン経済」が世界の潮流になりつつある。この分野で競争力を高め、雇用を生む戦略策定が急務だ。再生可能エネルギーなどへの投資を掲げる党は多いが、スローガンにとどまっている。日本の出遅れが指摘されており、政治の本気度が試される。

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