社説

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 各政党の原発・エネルギー政策は「脱炭素社会」をどう実現するかにも関わり、立場がそれぞれ異なる。衆院選での主張を見極めたい。

 自民、公明両党は従来の政策を踏襲し、原発の再稼働を容認する。

 菅政権は、2050年に温室効果ガス排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の目標を定めた。世界的に気候変動への危機感が強まり、各国の脱炭素化に歩調を合わせた。岸田政権もこれを受け継ぎ、自民は50年の目標実現のため、発電時に二酸化炭素を出さない原発を「不可欠な電源」と位置付ける。

 だが東京電力福島第1原発事故から10年が過ぎても、処理水の処分などの問題が山積する。国民の不安も根強い。運転開始40年超の「老朽原発」再稼働や、使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクル政策には専門家からも懸念が示されている。

 再稼働後の安全は保てるのか、遅々として進まない核燃料の再処理や最終処分は本当に可能なのか、与党は疑問にきちんと答えるべきだ。

 与党内のずれにも目を向けたい。公明は再稼働について「立地自治体などの関係者の理解と協力を得て判断する」と現行政策を追認しつつ、将来的な原発ゼロを標榜(ひょうぼう)する。「必要な規模を持続的に活用する」という自民とは隔たりがあり、両党はその矛盾を説明する責任がある。

 一方野党は、濃淡があるものの原発依存から脱却する考えに立つ。

 立憲民主党は「原発に依存しないカーボンニュートラル」を掲げ、現状での再稼働や新増設を認めないとする。50年に電力全てを太陽光などの再生可能エネルギーに転換することを公約する。共産党も再稼働を認めず、「30年までに原発の発電はゼロ」と期限を設ける。れいわ新選組は「原発は即時禁止」と訴える。

 国民民主党は新増設をせず、40年運転制限の厳格適用を約束しながら代替電源の確立までは原発を活用する構えだ。日本維新の会は既存原発を段階的に廃止すると主張する。

 ただ自民と維新は、原子力技術を後押しするとした点で共通する。自民は日米などで開発が進む小型モジュール炉や、「夢のエネルギー」と呼ばれる核融合発電などの開発を推進するという。しかし、使った以上の燃料を生む「夢の原子炉」とされた高速増殖炉の計画は失敗に終わった。その検証なく、新技術への巨額投資の是非を判断できるのか。専門家を交えた議論が欠かせない。

 太陽光や風力発電など、再生可能エネルギーの拡大は与野党で方針が一致する。だが安定供給やコスト、環境保全などの面で解決すべき課題は少なくない。脱炭素への道筋を展望する論戦を求めたい。

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