子育て政策/給付拡大の実効性を競え
2021/10/30 06:00
新型コロナウイルス禍の長期化で、子どもの心身の不調が深刻さを増している。その一端を示す衝撃的な数字が、衆院解散の前日に発表された。
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文部科学省の2020年度調査によると、自殺した小中高校生は過去最多の415人に上った。前年度より98人の増加である。小中学生の不登校も約19万6千人と過去最多となった。
昨年春に安倍政権下で実施された全国一斉休校や、その後の分散登校などで、孤立感が深まったり、生活リズムが乱れやすくなったりしたことが一因と考えられている。
コロナ下で雇用環境が悪化し、生活が苦しい人たちが増えている状況とも無関係ではないはずだ。困窮する子育て世帯への支援を急がねばならない。教育現場はかねて過重労働が指摘されており、教員増や働き方改革の一層の推進が望まれる。
全国一斉休校については、その功罪を検証し、教訓を今後に生かす必要がある。
衆院選で、各党は子育て関連の公約を競い合っている。目立つのは給付の拡大策だ。
自民党が「児童手当の強化を目指す」とし、公明党は18歳までの子どもに1人10万円相当の支給を掲げる。野党は立憲民主党が児童手当の所得制限撤廃、共産党と国民民主党が18歳まで児童手当支給、日本維新の会は大学までの教育無償化、れいわ新選組は全ての子どもに月3万円支給、社民党が奨学金を原則給付型に-としている。
しかし、大半が財源を示しておらず、実現性に疑問を抱かざるを得ない。少子化対策の観点からも、高齢者向けに偏った社会保障を持続可能な「全世代型」に転換する必要がある。財源の議論を避けてはならない。
立民と公明は、関連政策の司令塔となる省庁の創設を盛り込んだ。自民は「こども庁」を公約に盛り込まなかったものの、岸田文雄首相は検討を進めるとしている。子育て政策の拡充に異論はないが、「器ありき」ではなく、実効性に軸足を置いた政策論争こそ求めたい。
子どもを産み、育てることを社会で支える。そのために旧来の性別役割分担意識を変える必要もある。次世代の育成に、政治はもっと汗をかくべきだ。