社説

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 任期満了に伴う神戸市長選は、現職の久元喜造氏が43万票を超える過去最多得票で3回目の当選を果たした。2期8年間の堅実な行政手腕に対し、有権者から評価と信任を得たと言える。

 「神戸を安定した成長軌道に乗せる」と久元氏は抱負を語った。衆院選と同日となった相乗効果もあり、投票率は53・79%と48年ぶりに50%台を回復した。期待を謙虚に受け止め、都心・三宮をはじめとする都市再整備や人口減少対策などの公約を着実に実行してもらいたい。

 喫緊の課題は新型コロナウイルス対策である。医療、保健の体制拡充など感染再拡大への備え、苦境にあえぐ事業者や生活困窮者らへの目配りが欠かせない。社会や産業構造の変化に応じた多様な働き方、文化・芸術活動の支援などコロナ後をにらんだ施策にも力を入れるべきだ。

 財政規律も問われる。大型事業に前のめりになり、暮らしに密着した課題への対応がおろそかになってはならない。任期4年で何をどこまで進めるのか。目標年次と財源、優先順位を明確に示し、市民の理解を得ながら進めることが大切だ。さらなる行財政改革にもスピード感を持って取り組まねばならない。

 神戸市の人口は2011年をピークに減少が続いている。今回の市長選では、人口減対策とまちづくりの方向性が主要な争点となった。

 久元氏は、子育て支援策の拡充や北神急行電鉄の市営化による運賃の大幅値下げなど移住促進の施策を進めてきた。だが人口増加という成果には結びついていない。人口を増やすには、住みやすく、働きやすい都市の姿をどう描き、市民と共有できるかが鍵となる。同時に、人口の減少を前提にした持続可能なまちづくりも考える必要がある。

 西神中央や名谷など市西北部の駅前再整備が本格化するなど、市が抱えるニュータウンの少子高齢化対策はハード面が目立つ。リノベーションは不可欠としても、40~50年前の入居開始時と、住民の層は確実に変わっている。若い世代を呼び込むだけでなく、子育てや教育、防災、社会的な孤立防止など地域課題に対応するには投資の質が問われる。

 コミュニティーをつくる自治力は住民の安心につながる。NPOなど民間組織の協力も重要だ。神戸には阪神・淡路大震災の経験がある。協働と参画のまちづくりの原点を再確認し、地道な地域活動の支援策に今まで以上に注力してほしい。

 久元氏の3期目は、神戸が未来への基盤を築く時期となる。幅広く市民の声に耳を傾け、何よりも、ともに歩む姿勢を忘れずに市政運営に当たることが求められる。

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