社説

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 立憲民主党の枝野幸男代表は、衆院選での敗北の責任を取り、辞任する意向を表明した。

 4年ぶりの衆院選は、長く続く自公政権の強権的手法や、不手際が目立った政府の新型コロナウイルス対策に国民が審判を下す機会だった。

 だが結果は、自民党が議席を減らしながらも単独過半数を確保し、公明党との連立政権が維持された。政治を変えると訴えた立民は、公示前の110議席を96に減らした。政権交代どころか、有権者の多くが期待した与野党伯仲の状況さえ生み出せなかった。

 政治不信が高まっているにもかかわらず、政権批判票の受け皿になれなかった野党第1党の責任は重い。新執行部の下で敗因を検証し、国民の選択肢となり得る新たな社会像を描き直すことが求められる。

 まず総括すべきは、枝野執行部が主導した野党共闘の功罪である。

 立民は共産党などの野党と200を超える選挙区で候補を一本化し、小選挙区は公示前48議席から9議席増やした。自民の甘利明幹事長ら大物に競り勝ったほか、接戦に持ち込んだ選挙区もあり、一定の効果を発揮したと見ていいだろう。

 ところが各党の党勢を表す比例代表では62議席から23議席も減らした。要因として指摘されるのが、性急な野党共闘の進め方である。

 安全保障などの基本政策で隔たりがある共産との「閣外協力」に踏み込む決断は、支持母体の連合から「あり得ない」と突き放された。国民民主党とは原発政策などで折り合わず限定的な協力にとどまった。

 共闘が抱える矛盾に目をつぶってでも政権交代を実現した先で、どんな社会を目指すのか。有権者への丁寧な説明が欠けていたのは明らかだ。共同通信社の出口調査で、無党派層の投票先として立民は24%にとどまり、共闘と一線を画した日本維新の会が20%に迫る結果となった。

 選挙後、福山哲郎幹事長は「議席を減らすとは考えていなかった」と述べた。民意との乖離(かいり)を謙虚に受け止め、党内の議論や意思決定のあり方を見直す必要がある。

 有権者にも新たな潮流が見て取れる。社会保障や経済政策に加え、若い世代には、ジェンダー平等、気候変動などに着目して投票を呼びかける動きがあった。

 創設者でもある枝野氏の退任を機に党組織の世代交代を進め、新たな課題をいち早く政策に結びつける。こうした取り組みにこそ、活路が見いだせるのではないか。

 来年夏には参院選がある。政治に緊張感をもたらす野党の存在は不可欠だ。国民の多様な声に耳を傾け、党の再生に生かさねばならない。

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