社説

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 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が、感染状況を評価するための新たな指標を決めた。新規感染者数よりも医療の逼迫(ひっぱく)状況を重視する方針としたのが特徴だ。

 国内でワクチンの2回接種を完了したのは全人口の7割を超え、経口治療薬の年内の実用化も視野に入りつつある。新規感染者数も減少している。今回の指標見直しは、感染しても重症化する割合が減ってきている現状を踏まえたものと言える。

 今後のコロナ対応は、感染「第6波」の到来に備えながら、医療が逼迫しないレベルに感染を抑えつつ、日常生活の回復を目指すという新たな局面に移ることになる。

 新指標は分類を一つ増やし、5段階に変更する。新たに開発した、必要な病床数などの「予測ツール」を活用し、都道府県が判断する。

 一般医療を相当程度制限しなければ適切な医療対応ができなくなり、緊急事態宣言の発令など強い対策を求める状況が「レベル3」だ。従来の「ステージ3」(感染急増)の最終局面や「ステージ4」(爆発的感染拡大)に当たる。3週間後に必要となる病床数が確保病床数に達すると推計されるか、病床使用率が50%を超えた場合、総合的に判断する。

 最も深刻な「レベル4」は、一般医療を制限してもコロナに対応できない危機的な状況で、今夏の感染「第5波」に相当する。

 新指標で懸念されるのが、従来の指標と比べ客観的に判断できる数値基準が少ない点だ。地域により医療体制が異なるためとするが、判断する都道府県にとっては対策を打つ基準やタイミングが不明確で、混乱する恐れもある。政府は導入に際し、丁寧に説明してもらいたい。

 政府は、飲食店やイベントなどの制限緩和へ、ワクチン接種証明などを活用する実証実験を続ける。観光支援事業「Go To トラベル」の再開も検討している。ビジネス関係者や留学生らの入国制限も条件付きで緩和した。人の動きが活発になれば、感染のリスクは高まる。

 重要なのは、国民に行動制限を求める強い対策を臨機応変に取れるかどうかだ。政府は後手に回る対応や説明不足で国民の信頼を失い、宣言などの効果が薄れる失敗を重ねてきた。経済活動と両立させるためにも、感染状況を見極め、早い段階で宣言などの対策を打てる体制を、今度こそ整備しなければならない。

 新指標が機能するには、検査の拡充や保健所の機能強化、医療体制の再構築が不可欠である。

 第4波、第5波では自宅療養者が急増し、十分な治療を受けられず亡くなる事例が相次いだ。そうした事態を再び起こすことは許されない。

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