社説

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 衆院選を受けた特別国会で、岸田文雄氏が第101代首相に選ばれ、第2次岸田内閣が発足した。外相には新たに林芳正氏が就任し、それ以外の閣僚はいずれも続投させた。

 有権者の審判は「政権の継続」だったものの、首相は就任から1カ月足らずで、実績が評価され信任を得たとは言い難い。格差是正など公約した政策を速やかに実行し、着実な成果を上げることが求められる。

 自民党は絶対安定多数を確保したが、公示前より議席を減らし、幹事長だった甘利明氏が現金授受問題の説明責任を問われ、小選挙区で敗北した。9年近く続いた安倍、菅政権の独善的な政治姿勢や新型コロナウイルス対策の不手際に対する国民の不信や不満は根強い。首相は緊張感を持って政権運営に臨んでほしい。

 まずは、コロナ流行の「第6波」への備えに万全を期すことだ。現在は新規感染者は減少している。首相は医療提供体制の拡充などコロナ対策の「全体像」を12日に公表する。感染動向に細心の注意を払いつつ、社会・経済活動の回復をどう進めるのか。コロナ禍で傷ついた事業者や生活困窮者らを支え、経済の再生を後押しする具体策が急がれる。加えて、政策の実行には国民への丁寧な説明が欠かせない。

 経済対策では、理念先行の「新しい資本主義」の具体化が問われる。看板政策に掲げる「成長と分配の好循環」を巡っては、首相が設置した有識者会議が緊急提言をまとめた。賃上げに積極的な企業への税制支援強化や、看護、介護、保育の現場の待遇改善などを盛り込んでいる。数十兆円規模という経済対策に反映させるには、裏付けとなる財源の議論も置き去りにはできない。

 経済格差だけでなく、少子高齢化、財政再建、外交・安全保障など課題は山積みだ。新たに選ばれた衆院議員は、「自民1強政治」の下でないがしろにされてきた国会の機能を立て直す責任がある。

 野党が要求する臨時国会の召集に応じず、論戦の主舞台となる予算委員会も開かない。事実に反する答弁を重ね、議論の基となる公文書を改ざん、破棄する-。

 数の力を頼みに、強引で恣意(しい)的な政治を続けることは許されない。異なる意見にも耳を傾け、議論を交わして合意形成を図る国会の本来の姿を取り戻すべきだ。森友学園問題の再調査や「政治とカネ」を巡る一連の疑惑の真相解明にも、国会が率先して役割を果たしてもらいたい。

 首相は「丁寧で寛容な政治」を掲げてきた。政治への信頼を回復するためにも、その言葉を行動に移し、「言論の府」の再生に尽くさなければならない。

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