社説

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 英国で開催されていた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が閉幕した。世界の気温上昇を「1・5度に抑えるための努力を追求すると決意する」とした成果文書を採択した。200近い国と地域が合意した意義は大きい。

 しかし焦点だった石炭火力発電について、会議の最終盤で「段階的廃止」から「段階的削減」と表現が弱められ、廃止を主張する参加国や環境団体から批判が出た。廃止に後ろ向きな日本などは世界から厳しい視線を浴びている。岸田政権は会議での議論を踏まえ、エネルギー政策の方針を転換すべきだ。

 2015年のCOP21で採択されたパリ協定では、気温の上昇幅を産業革命前から2度未満、できれば1・5度に抑えるとの目標を掲げた。地球温暖化が進めば異常な熱波や大雨などが増え、海氷の消失で海面水が上昇する恐れがあるためだ。

 今年、国連の気候変動に関する政府間パネルは、今世紀末に気温が3・3~5・7度も上昇する恐れがあると警告した。一方、温室効果ガスの排出を非常に少なくすれば、1・5度前後に上がった後、下降に転じるとの予測を示した。

 COP26の議長国、英国のジョンソン首相は「私たちは今すぐに行動を起こす必要がある」とし、出席した岸田文雄首相も「目標の達成に向け、この10年が勝負だ」と述べた。50年までの温室効果ガス排出実質ゼロを目標とする英国や日本、米国は具体策を積み上げねばならない。

 二酸化炭素の排出量が多い石炭火力を巡っては、英国政府の要請に応じ、50カ国近くが段階的な廃止を目指す共同声明に合意した。だが日本や米国、中国は賛同しなかった。

 10月に決定された日本のエネルギー基本計画では、石炭火力を重要なエネルギー源と明記し、30年度の電源構成比でも全体の19%とするなど利用継続の方針だ。これでは目標の達成は見通せず、「脱石炭」の潮流から取り残されかねない。

 日本は19年のCOP25に続き、地球温暖化対策に後ろ向きな国に世界の環境団体が贈る「化石賞」に選ばれた。反論の余地はないだろう。

 今回の会議で岸田首相は、発展途上国の温暖化対策支援として、これまでの600億ドルに加え、5年間で最大100億ドル(約1兆1350億円)の追加支援を表明した。自国の利益を超えて貢献する姿勢をアピールする狙いがあるとみられるが、資金だけでは批判は免れまい。

 国際社会で、日本が気候変動問題に対する存在感を高めるには、より具体的な行動を示すしかない。岸田政権には、脱石炭に踏み出す決断が求められている。

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