社説

  • 印刷

 バイデン米大統領と中国の習近平国家主席が初のオンライン会談を行った。2度の電話会談に続く直接対話で、顔を見ながらのやりとりは休憩を挟み3時間40分に及んだ。

 台湾を巡る緊張の高まりに加え、少数民族や香港に対する人権抑圧、通商問題などで両国は対立を深めている。共同声明などの成果文書は作成されなかったが、「新冷戦」と呼ばれる関係悪化の中、首脳同士が言葉を交わした意義は大きい。

 ともに対話を継続する重要性を認識し、今後も意思疎通を図る方針という。気候変動対策では協調する姿勢も示しており、衝突回避の努力を真剣に重ねてもらいたい。

 今回の会談について、米側高官は「米中競争の責任ある管理や、競争を抑制するガードレールづくり」が主要議題と説明した。競争が武力行使につながらないよう、歯止めを設けようという趣旨だ。

 最も懸念されるのは、「台湾統一」を目指す中国が軍事行動に踏み切る事態である。中国は台湾の防空識別圏に戦闘機などを侵入させ、対抗して米国は台湾支援の動きを見せる。偶発的に戦火を交える恐れも否定できず、火種を早急に消し去る取り組みが不可欠だ。

 今回は具体的な話し合いに至らなかったが、バイデン氏の念頭に台湾有事の回避があったのは間違いない。中国の動きをけん制する狙いはある程度果たしたとみていい。

 対する習氏は、台湾独立の動きが一線を越えれば「断固とした措置を取る」と強気の構えを崩さず、依然として隔たりは大きい。

 中国も米国との衝突は望まないはずだ。習氏が席上、「地球は両国の発展を受け入れる十分な大きさがある」と述べたのは、大国同士の関係構築を望む表れといえる。

 ただ、米国は、南シナ海でルールを無視した中国の軍事拠点化を阻止できなかった苦い経験がある。このところ支持率が低下するバイデン氏は、来年の中間選挙に向け「弱腰」の批判は避けたいだろう。

 一方、習氏も来年の共産党大会で異例の総書記3期目入りを目指しており、「強さ」をアピールしたい国内事情がある。ここは米国の同盟国であり、中国とも深い関係を持つ日本が、力による対決の不毛さを訴える役割を担うべきである。

 万一、台湾有事となれば、日本は米軍を支援することになり、憲法違反の指摘がある集団的自衛権行使も現実味を帯びてくる。来年で国交正常化50年となる中国に、善隣関係の重要さを説かねばならない。

 さらに欧州などと連携し、国際社会全体で威圧的な行動の抑制と対話を粘り強く促す必要がある。

社説の最新
もっと見る
 

天気(1月22日)

  • 8℃
  • 1℃
  • 10%

  • 7℃
  • -1℃
  • 20%

  • 9℃
  • 0℃
  • 0%

  • 8℃
  • -1℃
  • 10%

お知らせ