社説

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 新型コロナウイルスに感染し、後遺症に悩む患者が増えている。1年以上も長引き、日常生活に支障を来す例もあり、対策が急がれる。

 後遺症は、倦怠(けんたい)感や息苦しさ、味覚や嗅覚の障害、脱毛、集中力の低下など症状は多岐にわたる。原因は今のところ判然とせず、症状には個人差もある。働き盛りの世代や学生に目立ち、感染して症状が軽い場合でも後遺症が出るのが特徴だ。

 神戸市の保健センターには9月だけで170件の相談があり、悩んでいる人の多さがうかがえる。

 大半の人は自然に回復するものの、国立国際医療研究センターの調査では、感染者の4人に1人が半年後も、1割は1年後も症状が残るなど長期化する事例があることが分かってきた。いつ治るのか見通せず、精神的に不安を抱える患者も多い。

 現段階では治療法が確立しておらず、薬で症状を和らげるなどの対症療法が中心になる。改めてこの病気の怖さを一人一人が認識することが大切だ。今は感染状況は落ち着いているが、油断せずにマスク着用などの対策を徹底したい。ワクチン接種は後遺症対策にも有効とされる。国や自治体は、発症例などの情報を広く発信すべきだ。

 新型コロナは流行「第5波」で感染者が急増した。今後さらに後遺症の問題が深刻さを増していく恐れがあるが、現状では受診できる病院が全国的にも限られている。

 国や自治体は医療機関と連携し、地域ごとに専門外来や相談窓口などの体制を整えねばならない。精神面のサポートも欠かせない。

 各地で取り組みが進みつつある。埼玉県は10月、県内の7医療機関に後遺症の専門外来を設け、かかりつけ医などから紹介を受けられる体制を整えた。神戸市は今月、看護師が対応する「後遺症相談ダイヤル」を開設し、不安や悩みの相談に乗り、症状に応じて受診できる医療機関を紹介するシステムをつくった。こうした事例を広げていきたい。

 一方で、働けなくなった場合の生活支援が課題となっている。後遺症は、まだ社会に十分認識されておらず、職場の理解が得られないケースもある。休職を余儀なくされたり、解雇や退職に追い込まれたりする人も少なくないという。

 長期の通院が必要な人もおり、後遺症の治療費は自己負担が生じる。会社員などが病気療養で仕事を休み給与が支払われない場合、健康保険から傷病手当金を受けることができるが、それで十分と言えるのか。苦しみを抱える当事者をさらに追い詰めることにならないよう、政府は後遺症患者の生活実態を調査し、支援策を打ち出す必要がある。

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