社説

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 新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」が世界各地で急拡大している状況を受け、政府はきょうから、全世界を対象に外国人の入国を禁止した。日本人帰国者らに指定宿泊施設での待機を求める対象には、ドイツや香港など14カ国・地域を新たに追加し、計23カ国・地域に広げた。

 26日に1日当たり5千人程度に緩和したばかりの入国者数の制限も、12月から3500人に戻す。

 岸田文雄首相は「情報がある程度明らかになるまでの臨時、異例の措置だ」と述べた。いずれも「当面1カ月」の措置とし、感染状況などによって改めて検討するという。

 先進国の中では最も厳格な水際対策の一つとなる。これまで政府は、対策の遅れや内容の不十分さで変異株の拡大を許してきた。その教訓を踏まえ、最悪を想定して備えることは「慎重すぎる」とは言えない。

 ただ、水際対策は経済活動の本格的な回復に水を差す恐れがある。ビジネス関係者や留学生らの中には、突然の措置への戸惑いも広がっている。禁止措置の見通しや解除後の手続きなどについて、政府には丁寧な説明が求められる。

 世界保健機関(WHO)は、オミクロン株について「世界的に拡散する可能性が高く、危険性は非常に高い」と警告した。人の細胞にくっつくウイルス表面の突起「スパイクタンパク質」に数多くの変異がみられる。南アフリカではデルタ株を追い払う勢いで拡大しているという。

 今月に入って南アなどで確認された後、欧州や香港、豪州、カナダなどでも見つかっている。当面は検疫で阻止することが必要だが、重要なのは国内に流入した場合を想定し、対策の構築を急ぐことだ。

 香港では、ホテルの向かい合った部屋の2人が、直接接触もないままオミクロン株に感染したとされる。国内の流行「第5波」で猛威を振るったデルタ株よりも感染力が強い可能性がある。ワクチンの効果を低下させたり、過去にかかった人が再感染しやすかったりする懸念も指摘されている。

 だが、その特性にはまだ分からない点が多い。各国で専門家が解析を急ぐものの、データが足りないことから、調査中のWHOも把握に時間がかかるとしている。政府は各国と情報を共有し、協調して感染拡大に歯止めをかけねばならない。

 国内では冬場を迎え、気温の低下と空気の乾燥で感染の危険が高まる時季と重なる。年末年始には会食などの機会が増える。一人一人の行動はこれまでと変わらない。3密の回避やマスクの着用、手洗いなど基本的な対策の徹底を心掛けたい。

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