社説

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 10月の衆院選後、初の本格的な与野党論戦の場となる臨時国会がきのう召集された。岸田文雄首相が所信表明演説で、当面の政治課題に対する基本姿勢を明らかにした。

 首相は、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染拡大を踏まえたワクチン3回目接種の前倒しなどの対応や、景気回復に向けた経済対策の推進などを強調した。課題は内外に山積している。安倍晋三政権以来の数の力を頼む強引な国会運営を改め、丁寧な議論を重ね、政策を検証する立法府本来の機能を取り戻さねばならない。

 政府は、総額約36兆円に上る2021年度補正予算案を提出した。大規模な経済対策と、首相が掲げる「新しい資本主義」を具体化する政策の裏付けとなるものだ。しかし、防衛力の強化など、補正に計上すべき緊急性があるのか疑わしい事業も少なくない。

 注目されるのが「18歳以下への10万円相当の給付」である。年収960万円の所得制限はあるが、1人当たり現金5万円と子育て用品に使えるクーポン5万円分を支給する。

 子育て支援策か経済対策か判然としない上に、現金とクーポンを分けて配る際の事務費が、現金で全額支給する場合と比べ約900億円増えることが明らかになった。「クーポン支給なら使用期間が限定され、有効な需要につながる」とする政府の説明に対し、野党は批判を強める。

 補正の主な財源は新たな借金である国債発行で賄われる。実効性のある分配政策と言えるのか、国会で十分吟味すべきである。財政健全化の道筋もたださねばならない。

 国会議員の「第2の給与」とも指摘される「文書通信交通滞在費(文通費)」の見直しも焦点だ。10月31日の衆院選で当選した新人議員らが、在職1日で1カ月分の100万円を受け取っていた問題である。

 与野党は、文通費を日割り支給に変更する歳費法改正などでほぼ一致していた。しかし野党が使途公開も義務付けるべきだと主張したため、与党側は法改正を先送りする方向に転じた。「政治とカネ」を巡る問題には、厳しい目が注がれている。税金が原資である以上、使途の透明化を避ける姿勢は大いに疑問だ。

 10月の臨時国会では見送られた予算委員会が開かれる。一問一答形式で、かみ合った論戦を期待したい。批判にも耳を傾ける姿勢を貫けるかどうか、首相が自負する「聞く力」と答弁力が試される。

 野党の力量も問われる。特に野党第1党の立憲民主党は泉健太代表の下で初の国会論戦となる。代表の言葉通り、建設的な対案を打ち出し、存在感を示してもらいたい。

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